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» 2012年02月23日 08時30分 UPDATE

松岡功のThink Management:アウトソーシングとマネジメントのあるべき関係

今回は、アウトソーシングとマネジメントの関係について考えてみたい。ポイントは、その責任の及ぶ範囲である。

[松岡功,ITmedia]

クラウドサービスで広がるアウトソーシング

 IT専門調査会社のIDC Japanが先頃発表した国内クラウドサービス市場予測によると、2011年の同市場は前年比45.9%増の662億円規模となり、2015年には2010年比5.6倍の2550億円になる見通しだという。

 同社によると、国内クラウドサービス市場は本格的な成長期を迎えており、とくにクラウドプラットフォーム(PaaS)およびクラウドインフラストラクチャ(IaaS)は、消費者向けインターネットサービスの基盤や特定アプリケーションのカスタマイズ開発・実行環境、新規Webアプリケーションの開発・実行環境として高い成長を遂げているとしている。

 このクラウドサービスは、かねて使われてきた言葉でいえば、アウトソーシングの一種ともいえる。アウトソーシングとは、社内の業務を一括して外部に委託することである。これによって、時間や人件費などのコストを削減するとともに、自社の中核とする事業に集中して収益拡大を図ろうというのが狙いだ。

 アウトソーシングといえば、最近のクラウドサービスも同様に、情報システム関連業務を対象とするケースが多いが、ほかにも設備管理や物流配送業務、ダイレクトマーケティング、コールセンターを中心とした顧客サービスといったように、業務分野は多岐にわたっている。さらにここ数年では、経理や購買などの間接業務を中心に外部委託を行うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を進める動きも活発化している。

アウトソーシング先のマネジメントも発注先の責務

 とはいえ、日本の企業ではこうした業務の外部委託を、未だに従来の「外注」という言葉に代表される丸投げスタイルの感覚で扱っているところが少なくない。これは欧米でも日本語のまま呼称されるようになった「ケイレツ」による慣習が大きく影響しており、丸投げによって仕事は任せっきり、費用も固定という契約形態が依然として残っている。

 もちろん、かつてはそうした丸投げでも、発注元と受注元の信頼関係の下で業務がスムーズに行われているのであれば、それでよかった。しかし、最近では企業に求められるものとして、顧客や株主などの利害関係者の期待やニーズを満足させることが一層重視されるようになってきた。

 では、企業はどうすれば利害関係者の期待やニーズを満足させられるのか。それは取りも直さず、業務の質的向上を図って事業を拡大し、好業績を上げ続けることにほかならない。

 このこととアウトソーシングがどう関係するのか。その意味ではまず、質的向上を図っていかなければならない業務を行うのが社内であれアウトソーシング先であれ、あくまで当該企業の業務として評価されることをきちんと認識しておかなければならない。

 この点については、アウトソーシングした業務も本来、発注元が自身で行っていた仕事だったのを考えると当然のことといえる。つまり、アウトソーシング先のマネジメントも、発注先のプロジェクトマネジメントの範ちゅうであり、責務なのである。

 こうしたアウトソーシングのとらえ方がいち早く浸透した米国では、アウトソーシングの発注元と受注元は業務パートナーとして連携し、お互いに情報をやりとりできるプロジェクトマネジメントをしっかりと行って、プロジェクトが完了したときには収益を分け合う契約形態が定着してきている。

 とりわけ利害関係者からは、いかにアウトソーシング先のコストやサービスレベル、スピードなどの質的向上を継続的に行っているかといった発注元のプロジェクトマネジメント能力に、厳しい目が注がれているのである。

 アウトソーシングをうまく使いこなせるようになるためにも、日本の企業には一層のマネジメント力が求められている。

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