アジアにおけるエンタープライズ領域での認知度向上を目指す DELL

デル アジア・パシフィック&ジャパン プレジデントのアミット・ミダ氏に、成長著しいアジア太平洋地域におけるビジネス現況や今後の展望などを聞いた。

» 2012年03月13日 10時30分 公開
[伏見学,ITmedia]

 このたび、ソリューション志向の企業に移行すべく、デル アジア・パシフィック&ジャパン(デルAPJ)は、4つのソリューションに基づく組織改編を行いました。

デルAPJ プレジデントのアミット・ミダ氏 デルAPJ プレジデントのアミット・ミダ氏

 1つ目は、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォンに焦点を当てたエンドユーザーソリューショングループ、2つ目は、サーバ、ストレージ、ネットワーキングといったデータセンター事業に注力するエンタープライズグループ、3つ目は、クラウドコンピューティング、インフラストラクチャ、アプリケーション開発などのビジネスを展開するサービスグループで、4つ目が新たな取り組みとなるソフトウェアグループです。APJ地域では、各国のコマーシャルビジネスチームと、4つのソリューショングループ、オペレーション部門、マーケティング部門が一体となりビジネスを展開しています。

 昨年のAPJ地域の売り上げは127億ドルで、前年比13%アップとなりました。サーバの売り上げは同地域でNo.1という結果でした。その背景にあるのはデータ量の爆発的な増加です。IDCの調査によると、2020年には企業が抱えるデータ量は35ゼタバイト以上に達するといわれています。このような膨大なデータを迅速にコンピューティング処理するためにDELLが注力したのが高密度なデータセンターの構築です。実際に、欧米でも米Microsoftの検索エンジン「Bing」や米Facebookなど、大量データの高速処理を必要とする企業がDELLのデータセンターソリューションを活用しています。また、データセンターの冷却コストや電力コストの削減にもDELLのサーバは貢献しており、APJ地域で高い評価をいただいています。

 サーバだけではなく、PCやストレージも堅調に成長しており、シェアを伸ばしています。現在、APJ地域は4万5000人の社員がいて、生産拠点を5カ所、デザインセンターを4カ所設けるなど存在感が増してきており、アジアからグローバルへビジネス展開しているという面があります。アジアは人口動態から考えても今後さらなる経済成長を遂げていくのは間違いなく、進出するグローバル企業のインフラ構築支援などDELLの活躍の場も増えていくでしょう。

アジアでのさらなる事業拡大に向けて

 アジア地域内の企業もIT投資に対しては積極的です。特に株式上場を目指す企業は投資家へのアピールが必要なのでIT投資を前向きに行っています。それ以外の企業でもITの重要性は認識せざるを得ないといった状況です。ITを導入する企業においては具体的に4つの傾向が見られます。業務効率性の向上、事業継続、複数拠点のマネジメント、そしてセキュリティを実現するために多くの企業がIT活用を進めています。

 このようにAPJ地域は成長市場ではありますが、デルAPJがさらにビジネス成長するためには3つの課題があると考えています。

 1つ目は「人材」です。さまざまな業界の企業をサポートするための人材をいかに獲得し、その人材をどのようにスキルアップさせていくかが重要だととらえています。

 2つ目は「ブランド力」です。DELLはPCベンダーとしての認知度は大きいですが、エンタープライズ分野やデータセンター分野でのブランド力はまだ足りません。業界最高クラスのサーバを展開したり、市場でトップシェアを獲得したりすることで、顧客の信頼を勝ち得ることができると考えています。

 3つ目は「実行力」です。DELLは数多くの知的財産(IP)を持っていますが、アジアで展開していない製品やサービスもたくさんあります。それをいかに早く推進していき、ビジネス機会の創出につないでいくかが課題です。(談)

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