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» 2012年03月26日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:グループウェア vs. 企業内SNSの行方

“企業システムのコンシューマ化”が今後進むとみられる中で、情報共有ツールの主軸となるのはグループウェアか、それとも企業内SNSか。

[松岡功,ITmedia]

進む“企業システムのコンシューマ化”

 このところ相次いで実績のあるグループウェアが、クラウドサービスとして提供されるようになってきた。一方で、グループウェアと同じ情報共有ツールとして、企業内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が注目を集めつつある。

 クラウド化が進む中で、果たしてどちらが企業における情報共有ツールの主軸となるのか。あるいは両分野が融合する方向に進むのか。筆者がそんな問題意識を持ったのは、グループウェア大手のサイボウズが昨年来、従来のパッケージ製品をクラウドサービスとして提供し始めたからだ。

 とくに同社が昨年12月に提供を始めた「Garoon on cybozu.com」では、新しい機能としてSNSの要素を取り込もうという意図が強く感じられた。2011年12月12日掲載の本コラム「グループウェア陣営の宣戦布告」ではその点をとらえて、こう記した。

 「今後、SNSの要素を取り込んだグループウェアサービス、一方でグループウェアの要素を取り込んだSNSが増えていくのは間違いないだろう。それが単一サービスかクラウド連携か、どちらが主流になるかは分からない。ユーザーにとって、どちらが使いやすいものになるのか」

 このテーマについてはまた動きがあれば取り上げようと考えていたところ、先頃、ある有識者からこんな話を聞いた。

 「企業は今後、事業活動においても社内利用においてもソーシャルメディアを活用することによって、『企業システムのコンシューマ化』が進んでいくのではないか」

 「これまで企業システムにコンシューマ分野の仕組みが入り込んできたことは、電子メールなど一部の機能を除いてほとんどなかった。とくに情報系は、これからコンシューマ分野の仕組みとどんどん連携・融合していくのではないか。企業システムのコンシューマ化というのは、そうした動きのことを意味している」

 「その動きが最近、顕著にみられるのは、企業内での利用に最適化されたSNSを、社内の情報共有ツールとして適用する企業が増えてきていることだ。一般向けのFacebookなども今後、こうした企業ユースをにらんでさらに進化していくかもしれない」

 「企業システムのコンシューマ化」という表現を耳にしたのは初めてだ。これまで交わることのなかった「企業システム」と「コンシューマ」が結び付くことで、新たな“化学反応”が起こりつつあるということか。これからのキーワードの1つになるかもしれない。

サイボウズ社長が語るグループウェアの優位性

会見に臨むサイボウズの青野慶久社長 会見に臨むサイボウズの青野慶久社長

 そんな折り、サイボウズが3月21日に開いた事業説明会で、青野慶久社長の話を聞く機会を得た。事業説明の概要についてはすでに報道されているので他稿を参照いただくとして、先のテーマに関わる話で興味深かったのは、同社がクラウド化への戦略転換に踏み切った背景のとらえ方だ。

 青野社長はまずビジネスソフト業界に影響を与えてきたITの変遷として、クラウドが大型コンピュータ、パソコン、インターネットに続く、数十年に一度の大きな波になるとの認識を示した。

 また、ビジネスソフトとは異なる分野でも、「Googleが広告業界を破壊」「Appleの革新的端末がPCを追い越す」「音楽や出版業界が激変中」「5億人が利用するFacebookが政治を変える」「ゲーム業界も激変中」といった大きな動きが起こっており、クラウドは今や社会全体に変革をもたらしつつあると強調した。

 おそらく青野社長もクラウドがもたらす変革として、ビジネスソフトとそれ以外の分野が交わって起こりつつある新たな化学反応を肌で感じているのではないだろうか。

 そんな青野社長に、グループウェアと企業内SNSにおける今後の主導権争いについて聞いてみた。しかも質問ではあえて、「グループウェアはいずれ企業内SNSに呑み込まれてしまうのでは?」と挑発的に尋ねてみた。するとこんな答えが返ってきた。

 「企業内SNSが情報共有ツールとして出始めているのは認識しているが、実際に機能を見てみるとまだまだやれることは限られており、脅威に感じることはない。決定的な違いを一言でいえば、単に情報共有できるだけでなく、それによっていかに業務効率を向上させるかをグループウェアでは徹底的に追求している。しかもサイボウズは創業以来15年間、それだけを専門に求め続けてきた。その差は大きいと自負している」

 穏やかな受け答えながらも、挑発に乗った言い回しが青野社長らしいところだ。さらにこんなコメントも付け加えた。

 「とはいえ、SNSの良いところはどんどん取り入れていきたい。すでにかなりの要素を盛り込んでいる。私たちが今、企業内SNSの動きで最も興味深く見ているのは、ビジネスアプリケーションとどのように連携・融合していくか。その意味では、企業内SNSもさらに普及していってほしい。そうすれば、ビジネスアプリケーションとソーシャルな機能の境界線上にどんな新しいビジネスチャンスがあるか、見えてくるはずだ。サイボウズはその先手も打っていきたい」

 ちなみに、青野社長は今月中旬に渡米し、企業内SNSの最新事情もリサーチしてきたという。先の力強い回答は、米国で得た実感を踏まえたもののようだ。このテーマについては近々、企業内SNS陣営からの見解も取材してみたい。

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