IBMが全世界で同時発表した「PureSystems」とは何か知見を結集してクラウド構築を効率化(1/2 ページ)

「歴史的な新しいITのカテゴリ」と語るシステム製品をIBMが打ち出した。

» 2012年04月13日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 IBMは4月12日(日本時間)、サーバやストレージ、ネットワーク、仮想化などをあらかじめ統合、最適化したシステム製品「IBM PureFlex System」と、それにミドルウェアを搭載したプラットフォーム製品「IBM PureApplication System」を世界で同時発表した。

日本IBMの橋本孝之社長 日本IBMの橋本孝之社長

 IaaSモデルのPureFlex Systemは、サーバにはIBMの汎用プロセッサ「POWER7」搭載サーバとIntelのプロセッサ「x86」搭載サーバを、OSにはAIX、IBM i、Linux、Windowsを、ストレージにはIBMのミッドレンジ向け「Storwize V7000」を、仮想化ハイパーバイザーにはVMware、KVM、Hyper-V、PowerVMを用意。ネットワークは、イーサネット、ファイバチャネル、InfiniBandから選択できる。PaaSモデルとなるPureApplication Systemは、PureFlexの機能に加えて、データベースやアプリケーションサーバ、ミドルウェアをあらかじめ組み込む。これらはすべてIBM製品となるが、PureFlex Systemでは独立系ソフトウェアベンダー(ISV)をはじめ他社のアプリケーションなどが利用可能である。

 両製品は、このたびIBMが打ち出した新しいITカテゴリ「エキスパート・インテグレーテッド・システム」における初めての製品ブランド「IBM PureSystems」に位置付けられる。同日都内で行われた記者説明会で、日本IBMの橋本孝之社長は「汎用システム(メインフレーム)の柔軟性、アプライアンスの使いやすさ、クラウドの俊敏性を併せ持ったまったく新しいシステムであり、ITに対する考え方を根底から変えるものだ」と意気込んだ。

知見をパターン化して提供

 エキスパート・インテグレーテッド・システムとは、設計段階からハードウェアやソフトウェアなどを最適に統合し、長年にわたりIBMが培ってきたインフラやアプリケーションの構築、運用に関するノウハウ、技術、経験など専門家の知見を実装したもの。IBMは、エキスパート・インテグレーテッド・システムの研究開発とそれに伴う買収に、4年間で20億ドルを投資し、世界37カ所の開発拠点で延べ数百万もの時間を開発に注ぎ込んだ。

日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当の薮下真平氏 日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当の薮下真平氏

 ハードウェアやソフトウェアをユーザーごとのシステムに合わせて構成するといった知見は「パターン」として定義し、自動的に最適なリソースを提供する。パターンには、サーバ群のトポロジー、各サーバのパラメータ、ポリシー、コンポーネントとリンク、モニタリング、セキュリティなどの情報が含まれる。「パターンを活用することによって、自動的にシステムは最適な環境にチューニングされる。今後は人手をかけて最高のパフォーマンスを構築する必要はなくなるのだ」と日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当の薮下真平氏は述べる。

 パターンは、IBMだけではなく、ISVなどパートナー企業や、顧客自らも作ることが可能である。これらのパターンはIBMと認定パートナーのコミュニティサイト「IBM PureSystems Centre」でダウンロードできる。既に全世界で100以上のパートナーが「Ready For PureSystems」として認定を受けており、日本でもワークスアプリケーション、アピウス、ビーコン インフォメーション テクノロジー(ビーコンIT)、クラステクノロジーが選ばれている。認定パートナーは随時拡大する予定で、2012年内に日本国内では50社を目指している。

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