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» 2012年04月24日 08時00分 UPDATE

田中克己の「ニッポンのIT企業」:ビッグデータが追い風に データ分析のプロ集団を率いるブレインパッド (1/2)

情報活用がますます盛んになる一方で、世の中に即戦力となるデータ解析人材がほとんどいないという問題に多くの企業が頭を抱える。

[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]

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 2012年に入って、ビックデータへの関心が一段と高まっている。膨大なデータを分析し、これまで気が付かなかった事象や課題を発見できたり、不可能と思われていたことを解決できたりすると言われている。「この不況を脱する有効な手段」と期待を集めているが、大きな問題がある。データを詳細に分析する専門家が少ないことだ。

データマイニングに絞り込み

 そんな中、データ分析支援に特化したIT企業が現われた。2003年4月に設立したブレインパッドだ。同社の草野隆史社長は「どんどん増えているデータを活用し、ホワイトカラーやサービス業の生産性を向上させたい」との思いから、データマイニングに絞り込んだ事業を立ち上げた。

 ところが、「世の中に即戦力となるデータ分析の人材がほとんどいなかった」(草野社長)。データ分析の経験を積める場所が少ないという現実もある。そのため、ブレインパッドは自らデータ分析のスペシャリストを育てることにした。現在、総勢約100人のうち、分析アルゴリズムの開発などにあたった元東京工業大学准教授の矢島安敏氏をはじめ、統計やデータマイニングなどを学んだ修士、博士の資格を有する40人弱のスペシャリストを揃える。

 ブレインパッドはこの専門集団を核に、データベースなどITリテラシーのスキルを基準に毎年数人の新卒、中途を採用し、育ててきた。多くが統計学やコンピュータサイエンス、アルゴリズムなどを学び、「アウトソーサの立場で、データ分析の力を磨き上げたい」(草野社長)という人材である。データ分析の難易度は年々高まっていることに加えて、ユーザーの依頼内容が多岐にわたるので、実ビジネスとしてのマーケティングや業務の知識も求められる。

 主な提案先はマーケティングや営業企画など、商品販売の拡大策を練る部署になる。顧客の業種はインターネット証券、生損保、クレジットカード会社などの金融業をはじめ、外食業、コンビニ、広告代理店、EC事業者、通販会社など、顧客との接点を持ち、マーケティングに力を入れている企業が多くを占める。

 例えば、無料でカタログを配布する通販会社が加入登録者全員に特定商品のカタログを発送したら、数千万円かかる。そこで、過去の購入履歴や性別、職業などから、今回掲載する商品のターゲットになりそうな顧客を抽出し、絞り込んでカタログを配布する。証券会社が顧客リストを基に過去の実績から、新たに上場するA銘柄を購入してくれそうな顧客を選び出して、可能性の高い顧客から順番に電話をかける。クレジットカード会社が分割払いに切り替えてくれる利用者を予想し、DM(ダイレクトメール)やメールで勧める。そして、その効果に見合う料金を提示する。

 実は、こうしたニーズは必ずしも顕在化しているわけではない。データを分析しても、どんな効用があるのか分からないこともある。分析ツールを購入したものの、使いこなせなかった企業はデータ分析の難しさも痛感している。問題は何を期待して導入したのかにある。前述の通販会社の場合、確かに印刷部数と発送数を減らせたが、商品販売が期待したほど増えなかったら、データ分析結果を生かせなかったことになる。

 データ分析は試してみないと、効用が分からないということだ。だから、ブレインパッドはデータをどう加工するのか、試行錯誤を繰り返し、期待する効用が見えてきたら、「分析支援サービスの活用で、この程度改善する」と提案、その価値に対する対価を求める。しかし、「ユーザーと議論して、『こうしたら、どうか』というSIビジネスとは異なる」(草野社長)。営業が「何でもできます」と提案すると、ユーザーと後々もめることにもなりかねないという。

 データ分析はブレインパッドのサーバを使うこともあるし、アマゾンなどのサーバを使うこともある。ユーザーが自社のデータセンターやアマゾンなどのサーバに、データを入れて分析したい場合、分析システムを構築し、人材のトレーニングもする。

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