スマートデバイスを集約する統合ファイラーを提供――トライポッドワークス

仙台市に本社を置くトライポッドワークスが25日、東京・秋葉原でパートナーイベントを行った。誤送信対策とファイル共有をキーワードにスマートデバイスを統合するソリューションを提供していく。

» 2012年04月26日 07時50分 公開
[石森将文,ITmedia]

 「情報漏えいの半数以上はメール誤送信が原因。ユーザー企業も、ウイルス対策やログ管理などよりメール誤送信対策を優先したいとしている」とトライポッドワークス プロジェクトマネジャーの遠藤一義氏は指摘する。「メール誤送信防止のソリューションに求められている機能は、添付ファイルの暗号化や送信メールのキャンセル、一時保留などだ」(遠藤氏)

トライポッドワークスの遠藤一義 プロジェクトマネジャー

 ニーズが高いのに、導入が進展しないのはなぜか。「アンケートによると、費用対効果が不明確という理由が多い。次いで導入コストと導入負荷が挙げられている」と遠藤氏は話す。

 トライポッドワークスは2012年2月に開催された誤送信防止サミットに参加したというが、「来場者の実に72%がメールシステムを自社で運用しており、驚いた」(遠藤氏)という。こういった現状が、費用対効果や導入負荷といった問題意識につながっているのでは? というのが遠藤氏の読みだ。

 これらの課題は、同社が提供している誤送信防止アプライアンス「MAILSCREEN」で解決できると遠藤氏は主張する。MAILSCREENはメールサーバの先に設置するだけで透過的にメールをフィルタリングできるという。条件はユーザー自身で設定できるが、2013年度中にはメールの送信を遅延する時間や添付ファイルの扱いを複数の条件から選択でき、またそれらを組み合わせて条件化できるよう、機能を強化する計画だ。

 またMAILSCREENは、障害が発生し電源を落としてもネットワークを(透過的に)バイパスする機能を持っているため「通信の継続を保証できる」(遠藤氏)という。他のアプライアンス製品で同種のバイパス機能を持つものはないのでは、と遠藤氏は主張する。

 2007年からトライポッドが提供している「GIGAPOD」も、MAILSCREENと同様、アプライアンス製品だ。外部とセキュアにファイルをやり取りできるオンラインストレージとして機能する。アプライアンスモデルを続けてきた理由について、同社で開発マネジャーを務める我妻隆志氏は「ユーザーには“使うこと”に注力してもらいたいからだ。設定のためにOSのコマンドラインを叩くようなことを強いたくはない。ハードウェアとソフトウェアを合わせて一括でサポートできることも利点」と話す。

トライポッドワークスの我妻隆志 開発マネジャー

 最近はクラウド環境での運用ニーズも多いという。そのため「GIGAPODをソフトウェアパッケージとしても提供していく。これによりユーザーは、データセンター環境に合わせて導入形態を検討できる。実際、プライベートクラウド環境での運用例も出てきた」(我妻氏)

 同社では今後、エンタープライズ向けにもGIGAPODを拡販する構えだ。

 「新しいモデルはLDAPやActive Directoryの認証環境に参加できるので、管理者はコピー&ペーストですぐに設定を完了できる。個々の社員のユーザー登録が不要になったため、利用人数が多いほど管理工数を削減できる」(我妻氏)

 既に何らかの形で社員DBを持つ場合は、csv形式などでエクスポートした社員情報をGIGAPODにインポートすることも可能だ。とはいえ社員DBには企業によって様々な形式があるため「導入作業はパートナーと連携して進めるのが現実的」(我妻氏)だという。

 上述した通り、アプライアンスだけでなくソフトウェアとしても提供するGIGAPODについて我妻氏は「今後、クラウドのオンラインストレージ製品になっていく予定だ」と見通しを示す。冗長構成にも対応することで負荷分散できるようにし、大規模かつ高負荷の環境下でも運用に耐える製品にしていくという。

 昨今、ビジネスの現場での利用拡大が進むスマートフォンやタブレットなどに対しては「MobilePOD(仮称)」を提供する計画。「ユーザー企業は“スマートデバイスの業務利用は避けられないが、個人向けファイル共有サービスの利用は制限したいし、共有するファイルに対するトレーサビリティーも必要だ”という課題を抱えている」と我妻氏は指摘する。「社内のストレージやPC、スマートデバイスを統合するファイラーとして機能するMobilePODはこういった課題に答える製品だ」(我妻氏)という。

ファイラーとして社内のリソースを統合するMobilePOD

 MDM(モバイルデバイス管理)という観点では「MobileKeeper」を提供する。デバイスを紛失した際のリモートワイプなどに加え、端末管理を強化した。具体的にはスマートデバイスが備えるカメラやUSBポート、Bluetooth通信、スクリーンショットの撮影などをデバイスの用途に応じて制御できるという。

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