画素数と画質の正体、デジタルカメラにモノ申す!“迷探偵”ハギ−のテクノロジー裏話(1/3 ページ)

「画素数が多いほどキレイに写真が撮れる」というのはホントだろうか。一人のユーザーとして、デジタルカメラに対する疑問や問題、希望を取り上げてみたい。

» 2012年08月03日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 デジタル写真や画像の問題点を前回お伝えしたが、今回は1人のユーザーとして感じたデジタルカメラの画素数や画質の疑問や期待について触れてみたい。筆者はデジタルカメラの専門家ではないので専門書などに比べると多少の偏見があるかもしれないが、恐らく筆者と同じような感想を抱いている読者もいるのではないだろうか。

衝撃的だったカシオの「QV-10」

 デジタルカメラとは古い付き合いである。1995年当時、既にデジタルカメラ自体はあった。しかし高価で、簡単には手が出なかった。そこに突如として現れたのが、廉価版のデジタルカメラであるカシオの「QV-10」だ。撮影した画像を本体ですぐに表示できるという点でも極めて画期的な商品だった。それによって仕事でデジタル写真を扱う機会が増えていった。個人的にも興味があったので、幾つかの機種を購入しては、当時の勤め先の実験室で性能や使い勝手を試したものだ(上司には怒られたのだが……)。そうなると、次の関心はデジタルカメラの写真の“品質”になった。

 2000〜2001年ごろになると、個人の趣味や仕事としても購入するデジタルカメラの種類がだんだんと増え、常に10機種ほどを会社の運動会や部会、宴会などでフル稼働するまでになっていた。この時にふと気になって分析してみると、同じ画素数のデジタルカメラでも画質に大きな違いがあることに気が付いた。

 当時は素人程度の知識しかなく、「画素数競争」が徐々にエスカレートしてきた頃でもあり、「画素数が多いほど画質がいい」と錯覚していたのだ。今では「そんなの当たり前でしょ」と思われるかもしれないが、画素数が多くても画質が良いわけではないことを知った当時はショックを受けた。筆者なりに実験を行うため、A3サイズの最高級の写真専用光沢紙とカラーインクジェットプリンタを購入し、同じ条件で撮影して印刷を行った。

 この頃のデジタルカメラは、画素数がようやくメガピクセルになり、100万〜300万画素が主流だった。100万画素の4つの機種で徹底的に撮影と印刷を試したが、その結果(当たり前か?)、画素数と画質とは異なるという事実を得た。そして自分の腕前に左右されることなく、どうすれば画質が良くなるのか、どの機種を選べば良いかといった基準を筆者なりに探り続けたものである。

 画素数という点では当時、富士フイルムの「ハニカム構造(現スーパーCCDハニカム)」が実際の画素数よりも多くの画素数をパンフレットに記載して問題になった(輸出先のある国では訂正も)。誤解を招く表現だったことも災いして、その後しばらくは市場での評価は芳しくなかったようだ。この点も、2008年発表の第8世代のスーパーCCDハニカムEXRで払しょくされたようだ。ハニカム構造について、詳しくはネットなどの解説をご覧いただければと思うが、簡単に言えば画素(撮像素子)を直列に並べてしまうと実際に光を感じる画素が全体的に少なって効率が悪くなるので、配置を45度斜めにして効率良く収納し、面積比としては約1.6〜2倍近くする優れものであった。そのため画素の形が八角形となった。これが「ハニカム」の由来である。

 ハニカム構造のように、デジタルカメラの“ウリ”としての画素や画質に関するメーカーなどの記述には、理論的な裏付けがしっかりしているものもあるが、筆者なりにそうとは思えないケースがいまだに存在しているのだ。

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