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» 2012年08月27日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:誰がビッグデータ活用をリードするのか

富士通が先週、企業のビッグデータ活用をテーマにした記者会見を2つ開いた。そこで出た話から、企業のビッグデータ活用は誰がリードすべきなのか、考えてみたい。

[松岡功,ITmedia]

富士通研究所が語るビッグデータ活用

 まず1つ目の会見は、富士通研究所が8月21日、ビッグデータへの取り組みについて説明したものだ。同研究所が生み出す技術は、富士通が提供する製品・サービスに反映されていくだけに、その取り組みから富士通における技術トレンドをうかがうことができる。

 会見ではビッグデータを活用するための新技術として、「ビッグデータを簡単に利活用するための分析シナリオを自動的に推薦する技術」と、「ビッグデータ向けデータ処理の開発期間を約1/5に短縮する開発・実行環境」の2つが発表された。

 これらの内容についてはすでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、ここでは同研究所の富田達夫社長の話から印象に残った発言を取り上げておきたい。

 富田氏はまず、ビッグデータ時代を迎えたICTの役割についてこう語った。

会見に臨む富士通研究所の富田達夫社長 会見に臨む富士通研究所の富田達夫社長

 「企業がこれから発展していくためには、業種や業態を越えたさまざまな情報を活用し、そこから新たな価値を生み出していく必要がある。しかもその情報はどんどん膨大で多種多様なビッグデータになり、なおかつ新鮮なうちに処理することが求められるようになってきている。最新のICTでこうした処理にどう対応していくか。そしてビッグデータをいかにビジネスに生かすかが、企業にとってビジネス拡大と競争優位性を実現する鍵となってきている」

 いわゆる基本認識である。そして「ビジネス拡大と競争優位性を実現する鍵となってきているのは、われわれにとっても同じ」と続けた。

 もう1つ、印象に残ったのは、質疑応答で「企業はビッグデータ活用をどう進めればよいのか」と問われたときの富田氏の発言である。この質問は、「ビッグデータを活用したいのはビジネスの現場だが、現場にはICTの知識が乏しい。一方、ICTの知識となると情報システム部門の出番だが、情報システム部門にはビジネス現場のニーズが理解できないという企業が少なくない中で」との前置きがあってのものだ。これに対し、同氏はベンダー側のアプローチの仕方としてこう答えた。

 「ビッグデータ活用で重要なのは、ビジネス現場のニーズを把握すること。その意味では、富士通が以前から取り組んでいるフィールドイノベーターの活動を生かせると考えている。さらにその活動経験をベースに、ビッグデータ活用・分析のエキスパートを育成していく必要もあるだろう」

 ちなみにフィールドイノベーターとは、顧客企業の現場に入り込んで最適化を図った業務仕様を的確にICTに落とし込める人材で、富士通が2007年から育成に努めているものだ。さらに、ビッグデータ分析・活用のエキスパートについては、「近々、富士通から何らかの説明があるだろう」と含みを持たせて富田氏は回答を締めくくった。

全社的なビッグデータ活用へCIOの出番

 その富田氏の「予告」が明らかになったのは3日後の8月24日。富士通が先週ビッグデータ関連で開いた2つ目の会見である。「ビッグデータ分析・活用を支えるデータキュレーションサービスについて」と題したその会見では、「キュレーター」というビッグデータ分析・活用のエキスパートについての説明が行われた。

 会見で説明に立った富士通インテリジェントサービス本部インテリジェントコンピューティング室の高梨益樹シニアマネージャーによると、キュレーターとはモデリングやアナリティクス、システムデザインといった専門スキルを持ち、データキュレーションサービスによって顧客企業の持つ業務データや未活用のデータを分析・評価し、データ活用の提案を行うエキスパートだという。

 ちなみにデータキュレーションサービスとは、顧客企業がビッグデータを活用し、新ビジネスの創出や業務改善に結び付けることを支援するコンサルティングサービスのことである。

 自らもキュレーターを務める高梨氏は、「キュレーターの真骨頂は、データに語らせること。そのために最重視しているスキルはモデリングだ。例えば、機械の故障を予測する場合、キャレーターはどのデータから機械の状態がわかるのかといったアプローチをとる。これは従来の分析手法ではなかったアプローチだ」と説明した。

 富士通ではこのキャレーターについて、2011年1月にビジネスインテリジェンス(BI)などを担当してきた研究者やコンサルタント、プロダクト開発者、SEなどを集めて専門組織を設立しており、育成に努めている。

 高梨氏によると、キュレーターがスキルを生かすためには、顧客企業のビジネスの現場で企画の段階から入り込むことが望ましいという。そう聞くと、確かに富田氏が語っていたフィールドイノベーターのアプローチと同じだ。

 ただ、富田氏と高梨氏の話を聞いていくうちに気になったのは、情報システム部門の役割だ。ビッグデータの活用ニーズがビジネスの現場にあるのは当然だろうが、情報システム部門はそうしたニーズと連動してもっと積極的に全社的なビッグデータ活用に乗り出すべきだと考える。

 では、そうした動きを誰がリードするのか。それこそCIO(最高情報責任者)の出番だろう。CIOはむしろ、情報システム部門の人材も動員して、社内でキュレーターを育成する仕組みづくりに積極的に乗り出すべきではないか。キュレーターという言葉はかねて「情報の目利き役」としても注目されているが、最も大事なのは高梨氏の指摘にもあるように「データを生かす」ことだ。そうした動きは取りも直さず、情報システム部門がビジネス現場のニーズを知る絶好の機会になるはずである。

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