富士通研究所がビッグデータの利活用を進めるための新技術を相次いで発表した。
富士通研究所は8月21日、ビッグデータ(多種・大量データ)に関するメディア向け説明会、ビッグデータの分析や活用をするために開発したという2つの新技術を発表した。
今回発表したのは、ビッグデータを活用するための「ビッグデータを簡単に利活用するための分析シナリオを自動的に推薦する技術」と、ビッグデータの迅速な処理を可能にする「ビッグデータ向けデータ処理の開発期間を約1/5に短縮する開発・実行環境」というもの。後者は20日付でプレス発表している。
分析シナリオを自動的に推薦する技術は、システムが分析対象のデータの内容や特性を推定し、あらかじめ登録されている分析テンプレートの中から適合するものを推薦するという。また、指定されたデータと組み合わせて利用できるデータの種類も提示、この組み合わせで利用できる分析テンプレートを推薦する。
同社は、この技術を活用することによって分析シナリオを設定し、それによる分析結果から分析シナリオを修正したり、データを追加するなどしてより効果的な分析を実現したりできるとしている。将来的に、富士通がリリースする分析ミドルウェア「Interstage Business Analytics Modeling Server」への搭載を予定する。
この技術についてソフトウェアシステム研究所 ソーシャルソリューション研究部の渡部勇部長は、「ビッグデータ分析で『活用したいけど、何ができるのか』という目的を具体化できないと悩むユーザーもいる。分析システムを構築する際に、ユーザーが保有するデータから分析目的を具体化していくケースも多く、その作業に役立てられるだろう」と話している。
一方の新技術はビッグデータの迅速処理を可能にする。ビッグデータ分析でのバッチ処理とデータ内のイベントに対応するリアルタイム処理では、通常はそれぞれに異なる記述言語や開発環境を用いるが、この技術はそれぞれを連携させて効率的な開発を可能にする手法だという。
これにより、例えば「POSデータの分析から得られた購買動向をベースに、顧客の好みや位置情報に応じたルールを作成して、ルールに合致する顧客にクーポンを自動的に発行する」というシステムが、従来の約5分の1の期間で開発できるという。また大容量データの高速処理では並列化が必要となるが、プログラムを自動生成する際の並列処理を効率化しており、サーバ間通信量を60%削減して、処理効率を3.5倍に高めた。今後はビッグデータ向けのプラットフォームやミドルウェアとして、2013年度に製品化したいとしている。
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