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» 2012年11月01日 11時00分 UPDATE

ITmedia エンタープライズ セミナー レポート:データを生かす人材やデータそのものに焦点を――ビッグデータ活用のヒントを探る (1/2)

ITmedia エンタープライズ編集部がビッグデータ活用をテーマにした主催したセミナー「データ分析の成否のポイントを探る 業績を伸ばす企業のビッグデータ活用術」から、先進ユーザー企業での取り組みや最新のソリューション動向をお伝えしよう。

[岡田靖,ITmedia]

 ITmedia エンタープライズ編集部主催のセミナー「業績を伸ばす企業のビッグデータ活用術」が9月26日、東京・秋葉原で開催された。ビッグデータの分析からビジネスのヒントを得る取り組みが注目を集める中で、セミナーではアイスタイルおよびJR東日本ウォータービジネスが先進事例を紹介。また、協賛各社による最新のビッグデータソリューションが披露された。

美容系CGMサイトの膨大なクチコミ情報

 最初の事例講演は、アイスタイル @cosme事業戦略本部 本部長の濱田健作氏による「国内最大規模の美容系総合ポータルサイト『@cosme』の生活者データベースのマーケティング活用事例」だ。

bigdataseminor001.jpg アイスタイル @cosme事業戦略本部 本部長 濱田健作氏

 同社が運営する「@cosme」(アットコスメ)は、化粧品など美容関連商品およびサービスに関するクチコミ情報を中心とした、いわゆるCGM(Consumer Generated Media)ポータルサイトである。現在は600万人以上が利用し、20万点以上の商品に対して1000万件以上のクチコミ情報が寄せられているという。

 @cosmeの武器は、特定のブランドやメーカーに偏らない膨大かつ総合的な「クチコミ」「ユーザー」「商品」の各データ。例えば、クチコミデータはこれまでに蓄積してきたノウハウを元に独自の辞書を作成し、単語や表現の重み付けをする。また、評価の方向性を点数化するといった方法で分析しているという。

 これらのデータからマーケティングのPDCAサイクルを回すために必要な指標を定め、メーカーなどのマーケティングを支援することが同社の大きなビジネスになっているとのことだ。

 濱田氏によれば、2011年にあるクレンジング商品が大幅なリニューアルをする際、発売の前後にテレビ広告を展開しつつ、同時に「@cosme」でモニタープレゼントを実施した。リニューアル前から商品を愛用しているユーザーに新商品を試してもらい、その評価を書き込んでもらうという方法だ。

 「当社はマーケティングにおける消費者とのつながりを『SHARE(共有)』『EARN(評価)』『WATCH(閲覧)』『BUY(購入)』『ENGAGE(絆)』の5つの指標で評価している。クレンジング商品リニューアルではこれら全ての指標が発売前後のタイミングで増加していることを確認した」(濱田氏)

 濱田氏は、こうした指標でデータを整理することにより、どの要素が商品購入に結びつきやすいか、どのようなタイミングでプロモーションを実施するのが効果的なのかといったノウハウを得ることができ、次のマーケティングに結びつけていけると解説している。

自販機利用のデータから商品開発

 もう一つの事例は「JR東日本ウォータービジネスの自販機イノベーション」。「エキナカ自販機」でおなじみのJR東日本ウォータービジネス 営業本部 取締役営業本部長の笹川俊成氏が講演を行った。

bigdataseminor002.jpg JR東日本ウォータービジネス 営業本部 取締役営業本部長 笹川俊成氏

 同社は、複数のJR関連会社が展開していた「エキナカ」の清涼飲料に携わる事業を統合する形で2006年に設立。「自販機は小売業」との認識に立ち、ブランドミックスの飲料自販機ビジネスを中心に展開する。Suicaで買える自販機の積極的な導入をはじめ、タッチが可能な大型ディスプレイを搭載する次世代型自販機の企画・開発・市場投入など、自販機イノベーションに取り組む。

 同社がマーケティングにおいて重視しているのがPOSデータだという。例えば、Suicaで決済する際に不可欠な通信機能をPOSデータの取得に応用し、販売品目や場所、時間といったデータに加えて、Suica-IDなどの取得を随時できるようにした。これがビッグデータ活用によるマーケティング改革につながる。

 「Suica利用率の向上が結果的にPOSデータの質の向上につながり、ポイントクラブ会員の購入では顧客属性も把握できるようになった。そのデータを活用すべく、2010年12月に『情報分析プロジェクト』を立ち上げた」(笹川氏)

 このプロジェクトではデータマイニングツールを活用しながら、POSデータをさまざまな切り口で分析していく。POSデータの中から得た情報を販売戦略につなげられたという。「例えば、夕方から夜の時間帯は30〜40代男性が甘みの強い飲料を購入する傾向にあると分かった。そこで『おやつ飲料』として品ぞろえを強化したところ、該当する時間帯の売上が増加した」(笹川氏)

 また、ミネラルウォーター「FROM AQUA」のリニューアルでもPOSデータの分析からリピート率が低いこと、郊外通勤者が乗車前に購入するケースが多いことなどが判明。消費者調査でも同様の傾向が分かった。こうした情報活用から、「持ち歩きたくなる水」をコンセプトに「落ちないキャップ」を採用した同製品は大きな話題となったのは、記憶に新しいところである。

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