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» 2013年01月15日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:「2013年はSDN市場元年」になるか

「2013年はこの市場の元年になる」といわれるSDN(Software Defined Network)。国内でも有力ベンダーが相次いで本格参入を表明しているが、果たしてどうか。

[松岡功,ITmedia]

日本HPがSDN対応ソリューションを発表

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が1月8日、SDN(Software Defined Network)の実現に向けたソリューションを発表した。ソリューションそのものの内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、ここでは日本HPも本格的な取り組みを始めたSDNに注目したい。

 SDNとは、ネットワーク上のネットワーク機器を個々に管理・制御するのではなく、ネットワーク全体を俯瞰したうえでソフトウェアによって柔軟かつ一元的に制御することで、ネットワークの仮想化を実現しようという考え方だ。

 SDNのもとでは、場所に依存することなく、分散したデータセンター間でも必要な台数の仮想マシンの増設や移行を、任意のネットワーク構成のもとで、容易に、かつ短時間で行えるようになり、より柔軟なクラウド環境の構築が可能になるといわれている。

 ちなみに、HPはサーバ、ストレージ、ネットワークなどのITリソースを統合し、必要に応じてユーザーが柔軟に使えるようにする「Converged Infrastructure」戦略を2009年から推進してきたが、今回その発展系としてSDNを軸としたSDDC(Software Defined Data Center)という考え方を打ち出した。

 会見に臨む日本HPの杉原博茂常務執行役員 会見に臨む日本HPの杉原博茂常務執行役員

 日本HPでエンタープライズインフラストラクチャー事業を統括する杉原博茂常務執行役員は発表会見で、「HPはSDNの要素技術であるOpenFlowについて、この技術を提唱した米スタンフォード大学と6年以上前から共に研究してきた経緯がある。そのSDNを取り込んだSDDCは、データセンター全体を集約・仮想化し、アプリケーション実行環境のためのデータセンターへ変革させるものだ。今後はHPならではのSDDC戦略を強力に推進していきたい」と意気込みを語った。

 SDDCという言葉が定着するかどうかは分からないが、SDNについてはここにきて注目度がグッと高まってきている。IDC Japanが先頃発表した「2013年 国内IT市場予測」の主要10項目の1つにも取り上げられており、そこには「2013年はSDN市場元年になる」とうたわれている。

 IDC Japanによると、「すでにSDNに対する関心は非常に高く、2013年は先進的なアーリーアダプター(Early Adopter)においてSDNの実装が本格的に始まるであろう。そして2014年から成長期に突入するSDN市場の拡大とともに、データセンターの変革が加速していく」との見立てだ。

「2013年はSDN市場元年」の理由と懸念

 さらにIDC Japanでは、2013年にSDNを取り巻く市場で起こると考えられる主要な動向について、以下のような3つの点を挙げている。

 まず1つ目は市場形成として、「2013年はOpenFlowをはじめとするSDNに関する技術の成熟化が進み、ベンダーからSDNに関連する製品やソリューションが多く提供され、市場の土台がつくられる。そして2014年からSDN市場は本格的に立ち上がり、急速に拡大していくことになる。SDNに関連するハードウェア、ソフトウェア、サービスで形成されるエコシステムは、2016年において300億円以上の市場規模になる」としている。

 2つ目はOpenFlowについて、「ベンダーはSDNの中心にあるOpenFlowを取り込んでいき、さまざまなエコシステムが形成されていくことになる。ユーザーやパートナーはOpenFlowソリューションの波に呑み込まれていくことになり、SDNの良し悪しに関する議論が展開されるであろう」と説いている。

 そして3つ目もOpenFlowの実装に着目し、「2013年はクラウドサービスプロバイダーにおいてネットワークに起因する課題と限界が顕在化すると考えられる。また、大手ユーザー企業のデータセンターにおいても同様の課題が浮上し、対策の必要に迫られることになる。このような状況と多くのベンダーによるOpenFlowソリューションの市場投入によって、アーリーアダプターがOpenFlowによるSDNの実現を進めていくことになるであろう」と予測している。

 「2013年はSDN市場元年になる」というのは、かなり現実味を帯びていると筆者も感じる。ただ、業界関係者の間では、SDNによってネットワークの仮想化が着実に進むことは認めつつも、「従来のネットワーク機器に縛られた状況は、すぐには変わらない」と見る向きも少なくない。

 そう見る業界関係者の一人は、「SDNの実現に向けた製品やサービスはこの1、2年で揃ってくるだろうが、需要と供給のバランスから関連機器などのコストがそんなに急激に下がるとは思えない。加えてSDNのビジネス活用に向けたコンサルタントやSDNに精通した技術者の育成も課題になってくるだろう。あまり短期で期待をかけすぎると失望感が広がりかねない」との懸念を示した。

 ただ、SDNそのものを否定する声は、筆者の耳には入ってこなかった。SDNはネットワーク全体をソフトウェア制御できることから、最近の流行言葉である「スマート」なネットワークを実現するソリューションともいえる。これはまさに時代の要請だろう。国内ではNECやNTTコミュニケーションズなども本腰を入れて取り組んでおり、市場の厚みは増しつつある。今後はベンダーが繰り出すソリューションもさることながら、SDNならではの導入成功事例に注目したい。

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