SDNを促進へ、日本HPがネットワーク事業戦略を説明

日本HPは、ITインフラビジネスのネットワーク領域の主軸に「SDN(Software Defined Network)」を位置付ける。2013年は既存製品を含むOpenFlow対応を推進するという。

» 2013年01月08日 16時43分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードは1月8日、ネットワーク事業戦略説明会を開催した。ネットワーク領域の主軸に「SDN(Software Defined Network)」を位置付け、これを実現させるためのOpenFlow対応新製品の投入や既存製品でのOpenFlow対応を推進していく。

 会見した常務執行役員エンタープライズインフラストラクチャー事業統括の杉原博茂氏は、同社のITインフラ事業の方向性ついて「従来の『Converged Infrastructure』『Converged Cloud』に続き、2013年から『Software Defined Data Center』を推進したい」と説明。物理的なコンピュータやネットワークの構成に縛られず、アプリケーションにとって最適な実行環境をソフトウェアで実現させるデータセンターを目指すとし、特にネットワーク領域での中核になるのがSDNだという。

 国内の事業戦略は、顧客需要や製品を2つに区分し、ハイエンド製品などを扱うネットワークインテグレーター向けに「ネットワークインテグレーターアライアンスプログラム」、サーバなどその他のインフラシステムを含めた全体最適を顧客に提案するパートナー向けに「サーバー・ストレージアタッチプログラム」を展開する。

顧客ニーズベースで異なる「2極化戦略」

 前者のプログラムでは米HPとも連携して先進技術の商用化や先進導入を推進する。後者ではコストのメリットの高いソリューションパッケージを展開させる考え。HPネットワーク事業本部長の多田直哉氏は、「ポート数でみたHPのネットワーク製品の国内シェアは5%と、世界全体の18%に比べると低い。3年以内に20%以上へ引き上げる」と表明した。

HP 12504。2013年はネットワークのコアでのOpenFlow対応も進める

 製品面の施策では同日から、コアスイッチ製品「HP 12500」シリーズ向けに新たなファームウェアを提供している。このファームウェアには、「Ethernet Virtual Interconnect」「Multitenant Device Context」という2つの機能が含まれ、HP 12500シリーズで最大8サイトのL2の相互接続、4000以上のVLAN処理が可能になるほか、1つの物理筐体を最大4つの仮想スイッチとして動作できるようにする。マルチテナントに対応し、各テナントで4000以上のVLAN処理が可能になるため、物理的なスペースを節約しながら柔軟なネットワークを構成できるようになる。

 また、2013年下期にOpenFlow対応コントローラ「HP Virtual Application Network SDN Controller(VAN SDN-C)」、ソフトウェアの「HP Virtual Cloud Network Application」と「HP Sentinel Security」も投入する計画。HP Virtual Cloud Network ApplicationではOpenStackと連携してクラウド環境におけるネットワーク構築の自動化や管理の効率化を図り、HP Sentinel Securityでは同社のセキュリティ製品群との連携によるSDN環境でのセキュリティ対策を実現させるという。

HP Virtual Application Network SDN Controllerの適用イメージ

 VAN SDN-Cは、SMNPやOpenFlowなどのプロトコルに対応したネットワークデバイスとの連携や、マルチハイパーバイザー対応による仮想サーバとの運用連携、さらにはOpenStackのAPI(通称:Quantum)を介してのクラウド環境との接続などを可能にするとしている。

 インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部の尾崎亨氏は、「HPが目指すSDNでは業界標準かつオープンな技術を、サーバやストレージの担当者でも扱えるようにしたい。2013年は製品でのOpenFlow対応もできるだけ新しい規格(同日現在の最新版Ver 1.3.1)に沿うように拡大し、サーバも含めた40Gbps対応も進めていきたい」と述べた。

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