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» 2013年03月15日 08時30分 UPDATE

システムインテグレーターが生き残る道【後編】 (1/2)

IT投資の減少などによって苦境に立たされるSI企業。今後ますます市場競争が激化する中、生き残りをかけてどう取り組んでいくべきなのか。

[内山悟志(ITR),ITmedia]

ビジネス変革を求めるユーザーの期待にどう応えるか

 企業のIT投資が低迷を続ける中、そのあおりを受けるシステムインテグレーター(SI)企業にとって、特に「コスト抑制圧力」「グローバル化」「クラウドの台頭」の3点が原因となっていることは前回述べた。

 しかしながら、グローバル化への対応におけるIT予算の海外流出だけでなく、中国やインドによるオフショア開発の台頭もSI企業にとって脅威となろう。今後はより低廉な労働力を求めてベトナム、タイ、フィリピンといった東南アジア諸国へのオフショア開発の拡大も予想され、価格競争でこうしたオフショア勢に太刀打ちすることは不可能といえる。そうなれば、国内SI企業はより高付加価値なビジネス領域に活路を見出すしかない。すなわち、オフショアへの移転が容易な下流工程の請負業務やコモディティ化する技術の導入支援ではなく、顧客のビジネスにおける成功により直接的に寄与することができる超上流工程支援へのシフトが求められる。

 2013年度におけるユーザー企業が最重視するIT戦略テーマでは、「売上増大への直接的な貢献」が「業務コストの削減」や「ITコストの削減」を抑えてトップに浮上しており、ITを活用したビジネス変革への期待の大きさを物語っている(図1)。一方で、ユーザー企業のIT部門の人員は決して潤沢に配置されておらず、ガバナンスやコスト削減といった守りの戦略を遂行することに忙殺され、経営者が求めるビジネス変革への期待に十分に応えきれていないのが実態といえる。

図1 最重要視するIT戦略上のテーマ(出典:ITR「IT投資動向調査2013」 1位<最重要>のみの選択率) 図1 最重要視するIT戦略上のテーマ(出典:ITR「IT投資動向調査2013」 1位<最重要>のみの選択率)

 このような状況の中、ユーザー企業のIT部門は、本来ならば複数部門にまたがるユーザー要求の調整や要件定義といった超上流工程の業務を社内のIT部門が行うべきだという理想像を描きつつも、本音では信頼できるパートナーに超上流工程の支援を求めたいと考えている。

 SI企業がこうしたニーズに応えるためには、ユーザー企業からの要求に見合ったハードウェアやソフトウェアを提供するベンダーという立場から、業務の改善を促す立場、そして、ビジネスや業務の変革と高度化を実現する支援者、さらにはITを活用した新規事業やビジネスモデルなどを提案するなどして、新たな顧客価値をユーザー企業とともに創造するパートナーとして位置付けられるまでにポジションを上げていくことが求められる。

 ビジネス変革のパートナーとして能動的な提案と超上流工程の支援を実行していくためには、これまで以上に顧客のビジネスや業務を深く理解する必要がある。業界知識や業務知識に加えて、ヒアリング、課題分析、問題解決といったコンサルティングスキルが問われることとなる。

 これまでは、ユーザー企業またはコンサルティングファームが要求定義までを行い、要求が固まってからSI企業がシステム要件を検討するという役割分担が一般的であったが、SI企業が超上流工程を担うことで、超上流工程と上流工程、さらに下流工程の間のプロセスが直結し、非機能要件を含む要件適合性が高まることが期待される。実装および運用を考慮した要求・要件が定義されるため、手戻りやトラブルが軽減されるとともに、スピードの面、変化柔軟性の面、コストの面でユーザーにメリットを提供することができるはずだ。

 SI企業にとっては、ビジネスや業務に踏み込んだ支援を行うことで、顧客の真の課題が見える。これをユーザーとともに解決することで、長期的な関係を構築できるのだ。こうしたユーザー企業のビジネス変革に対する経験を積み重ねることにより、いくつかの業種や業務分野で得意技を獲得でき、事業ポートフォリオに深みを持たせられるだろう。さらに構築したビジネスモデルやイノベーション事例をソリューション化し、横展開することも可能となる。

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