人事異動の季節その2、異動する社員が注意したいポイント“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話(1/3 ページ)

人事異動の時期を迎えた。前回は「異動させる」側である管理部門が注意すべき点を解説したが、今回は「異動する」側の社員が注意すべきポイントについて解説しよう。

» 2013年03月29日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

メール上の注意点

 企業において実施されるのがメールチェックである。部署異動ならあまり実施しないが、地域間での異動、例えば、本部から○○支店へとか、九州の○○工場から関東の○○工場への異動といった際にチェックを強化している。また、情報漏えいなどに細心の注意を常日頃から行っている企業でも実施される。

 本来であれば、「不審者」や「被疑者」に絞られるものの、異動者の場合はほぼ全員か、もしくはサンプリングなど、企業のポリシーに基づいて実施される場合がある。特に、ここ1年以内に小さな事件、事故が発生したケースではチェックされる可能性が高い。また、実施する企業自体も増加傾向にある。システムで自動的に、「機密」とか「会社には内緒」とかいうキーワードで検索している一部の企業でも、サンプリングによって人がチェックする場合もある。

 大部分の社員にとっては関係なく、「別にチェックするならどうぞ」と感じる人が圧倒的に多いだろうが、ちょっとしたことで「疑われる」のは、本人にとっても、企業にとっても時間とお金の無駄であり、本人のプライドを傷つけることにもなり兼ねない。

 そこで、メールの掃除くらいはしておきたいと思う。企業によってはメールサーバから「削除したメール」の内容を分析する場合もあるというが、それはそれで別に悪いことをしている訳ではなく、不要なメールや誤解を招くメールを削除しているだけなので、正々堂々と行いたいものである。

ジャンクメール、スパムメール、私物メールの削除

 いうまでもなく、企業で高度なフィルタリングをしている場合は、スパムメールなどはほとんど届かない。それでも通過してしまうメールについては、原則として毎日削除しておけば良いのだが、多忙さゆえに、そのままにしている社員もいる。

 せめて「月ごとに掃除でも」と思ってもなかなかできないものだが、「異動の辞令」を受け取ったなら、まずはきれいにしておくべきだ。管理者が目視チェックをした際に掃除をしていない社員に好印象を持つとは思えない。机の上に資料が乱雑においている様なものだ。きちんときれいにしておくことをお勧めする。

 また、私物メールも同じであり、どうしても残したいもの(例えば、来週に同期会を行うがその場所が不明確でありいつでも見られるようにするといったもの)を除き、削除しておく方がいい。ましてや、プライベートとはいえ、株や為替の取引の通知メール、彼女からのメール、勤め先の部署や企業そのものへの不満メールなど、要するに管理者、経営者からみて「不快」とか「こいつはプライベートなにをしているんだ」と思うようなメールに関しては削除すべきである。

 そもそも、それ以前に会社のアドレスからの送信は論外だが、受信についても神経質になってちょうどいいと思われる従業員が多数いる。削除してもサーバには残るが、そのままよりはよほどましである。これらについては、コンプライアンス教育でお伝えしていても守らない社員は必ずいるものだ。脇の甘さを感じてほしい。

悩ましい同僚や部下、上司からのメール

 通常メール内容をチェックする人間は、指揮系統の内部ではない。全く別組織の管理者や役員となる。そういうことを前提にした場合、単純な業務報告などは全くそのままで構わないが、内容が微妙なケースもある。

 この場合は、「疑わしきは削除」が原則と覚えておくといい。例えば、新人からきた業務報告メールで、“井戸端会議”の感覚でつい記載したと思われるワンマン社長への不満があったとする。新人は“仲良しメール”のつもりで送信したが、こういうメールひとつで後々に辛い体験をした社員もいた。削除することで(メールサーバには残るが)、少なくとも見られる可能性は低くなる。そして、万一削除メールが発見されても、「自分は関係ない」という証拠にできる可能性は高い。

 新人にもしこういう軽率な行為を伝えるなら、(飲みニケーション)“ガス抜き”することを勧めるべきだろう。つまらないことで目をつけられるのは、サラリーマンにとっては決して徳にはならない。これを中高年の一部は神経質というが、それはデジタル情報の怖さを認識していないことでもある。警戒するぐらいがちょうどいいし、そうすることで、高度と思われている「サイバー攻撃」対処の基礎ともなるのだ。

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