人事異動の季節その2、異動する社員が注意したいポイント“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話(2/3 ページ)

» 2013年03月29日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

PC回りの注意点

 PCを異動の度にフォレンジック調査をするというのは、現実的ではないだろう。筆者もさまざまな経験の中で1社だけ、異動のタイミングにピンポイントではあるが、フォレンジック機能の一部だけを使ってある調査(その企業特有の情報キーワードで調べる)を行っていた。これは特殊なケースである。

 ただ最近は、退職者のPCをフォレンジック調査するケースが増えつつある。また、これらについては筆者の知る限り、100%従業員に公開している。なぜなら、コンプライアンス教育でフォレンジック調査の概要を全員が知っており、「これをされたらとても不正は無理だ」と納得している。そもそも不正や情報漏えいをしたいとは思わせない心理的効果が多々あるのだ。米国でもこういう企業が多数あるとのことで、不正する側の視点に立った極めて有効な防御法と思う。

 ここでの注意点だが、本稿の目的は、異動者が会社に対して変な考えを持たせないようにすることであり、「白」の事実をきちんと「白」と納得させるための視点である。このことを鑑みれば、疑わしい状況にしないというのが自己防衛策となる。

 例えば、お昼休みにインターネットで遊ぶ若者が企業によっては散見される。この場合は、アクセスフィルタリングに抵触しないよう常日頃から注意する。一番望ましいのは、会社のOA端末からアクセスしないことだ。特にスマホではその目的の9割を達成できるのだが、PCの方が画面は大きいし、休憩時の私的なネット利用が認められているなどの理由で、会社のPCを利用している社員は多い。だが、やはり環境が許すなら、自分のスマホなどにすべきだと思う。フィルタリングに抵触した回数をホスト側でカウントしている企業もあり、極力回避した方が良い。

 また、机周りの整理も重要なポイントだ。ある企業で実際に見かけたが、異動ということで身辺整理をするのはいいとしても、ゴミ箱いっぱいに資料が捨てられている。また、段ボールに詰めて異動先ではなく自宅に送っている社員もいた。ほんの2年前の出来事である。

 読者の会社はどうだろうか。許されるべき行為ではない。たとえ部長でも事業部長でも、駄目なものはダメである。紙の廃棄は、その企業ではシュレッダーしか許可されていない。異動だからといって、特例扱いを一切せず、朝までかかってでも全てシュレッダーにかけるべきであろう。

 また、段ボールなどで別送する場合の規則が無い企業も多い。このような場合は、2人以上で異動先へ送付する段ボールの中をチェックさせ、規則に反した書類(お客様リストなど)がないか、正式書類や会社に提出すべき書類がないかなど、きちんと複数人で確認してから、段ボールごと会社で発送処理すべきである。

 自宅への送付であるなら、紙の資料は一切禁止であるべきだし、文房具なども会社の貸与物件なので私物化してはいけない。書物や定期刊行物についても、その処理方法が決められていない場合は、今後のために決めるべきである。慣習で許容されていても、せめて何を発送したのか明細を作成して、管理するくらいの慎重さがあっていい。ある会社で確認したら、最も多い異動者の忘れものが「置き傘」だった。忘れる社員が多いので、処分方法を明示している企業も多くなっている。

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