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» 2013年06月11日 08時00分 UPDATE

情シスの横顔:システム運用/保守だけの仕事に未来なし ファンケル・渡辺さん (1/2)

ファンケルの情報システム部でグループマネジャーを務める渡辺拓人さんは、IT部門はビジネスに貢献する仕組みを作るべきで、現状のポジションにあぐらをかいていてはならないと指摘する。

[伏見学,ITmedia]

企業の情報システム部門の現場で活躍する方々を追ったインタービュー連載「情シスの横顔」のバックナンバー

顧客サポートから情シスへ

 無添加化粧品や健康食品などの提供を通じて、「世の中の不安や不便などの“不”の解消」を目指すファンケル。同社は創業以来、情報システムに対する取り組みも積極的で、1981年にオフィスコンピュータを導入、1988年には24時間コンピュータ自動受付システムを導入したほか、2000年には受注、物流、会計などの基幹システムを日本IBMにアウトソーシングするなど、ビジネス成長に向けたIT戦略を推し進めてきた。

ファンケル グループサポートセンター 情報システム部 コーポレートシステムグループ グループマネジャーの渡辺拓人さん。神奈川県横浜市出身 ファンケル グループサポートセンター 情報システム部 コーポレートシステムグループ グループマネジャーの渡辺拓人さん。神奈川県横浜市出身

 現在、そうした戦略をつかさどる同社の情報システム部でコーポレートシステムグループ グループマネジャーを務めているのが渡辺拓人さんだ。1998年に新卒社員でファンケルに入社した渡辺さんは、間もなくカスタマーサポート部門に配属、そこで約5年半、消費者からの電話応対をはじめとする窓口業務に携わった。加えて、通信販売システム用の画面や、コールセンターシステムの画面など、バックエンド業務で利用するさまざまなシステムも担当していた。

 このような経験を武器に、渡辺さんは2003年秋に情報システム部へ異動した。当時、業務部門から情報システム部門への異動は珍しかったそうだが、「カスタマーサポート部門では、通販の出荷から入金まで全体の業務を俯瞰して見ることができました。業務の流れを理解しているという点に目を付けてもらったのではないでしょうか」と渡辺さんは振り返る。また、ちょうどそのころ、ファンケルの情報システム部門では、単にプログラミングのスキルだけではなく、会社の戦略をどうITに落とし込んでいくかという発想や、それを実現するスキルが求められており、より上流工程の業務を知る人材を必要としていたタイミングだったことも大きいのではないかという。

 とはいえ、情報システム部門に異動した当初は、日常業務においてさまざまなギャップを感じることがあった。

 「フルフィルメントは十分に分かっているつもりでしたが、情報システムの現場では要件定義をはじめプロセスをしっかりと管理していきます。特に言葉を厳密に定義していく点は目から鱗であり、こうやって仕事を進めていかないといけないのだなと学びました。言葉の定義や方向性が1つでも間違えると、ユーザーが求めているシステムと全然違うものが出来上がってしまうからです」(渡辺さん)

 ファンケルの情報システム部門では、新人だろうとどんどん現場に出て、経験を積んで行くスタイルをとるため、渡辺さんも実際の業務の中でスキルを磨いていった。また、ITの専門知識についてはシステムアドミニストレータ資格を取得するなど自分自身で勉強した。

次期システムプロジェクトのリーダーとして

 ファンケルの情報システム部は、「コーポレートシステムグループ」と「事業サポートグループ」の2チームに大きく分かれる。前者はERP(統合業務パッケージ)や情報系などの社内向けシステムを担当し、後者は通信販売、店舗、ECサイトなどの顧客にかかわるシステムを担当する。部門全体では30人ほどの体制である。「機能的にグループを分けていますが、今やシステム単体で業務が完了することはありません。何か案件があった際には、グループの垣根を越えてそれぞれからメンバーを出してプロジェクトを形成しています」と渡辺さんは説明する。

 異動後に渡辺さんが配属されたのは事業サポートグループで、インターネットシステムの運用、保守を長らく担当した。そこではインフラ強化に向けたサーバの二重化、セキュリティのぜい弱性対策、さらには営業的な施策としてアクセス解析ツールの導入、顧客が利用する画面のUI(ユーザーインタフェース)変更、レコメンドシステムの導入など、4年ほどかけて段階的にインターネットシステムの改革プロジェクトを実施した。また、千葉県柏市にある物流センターでの倉庫管理システム(WMS)構築プロジェクトにも1年間かかわった。

 そうした中、ファンケルが2008年に発表した「新中期3カ年経営計画」で示された営業目標などを達成するために、情報システム部は何をすべきかを検討することとなった。そこで情報システム部が主体的に考え、全社の関係部署を巻き込んだ大規模プロジェクトが、次期顧客管理システムプロジェクトである。渡辺さんはプロジェクトリーダーとして参画。なお、このタイミングで現在のコーポレートグループに属することとなった。

 「目標を達成するための1つの手段として、今ある顧客をさまざまな角度から分析し、CRM(顧客情報管理)システムでつなぎ止めるべきだと考えました。何度も繰り返し経営層と協議した結果、全社横断のプロジェクトを立ち上げることになりました」(渡辺さん)

 本プロジェクトは、約1年間の検討フェーズを経た後、2010年〜2012年3月までの期間をステップ1、ステップ2に区切って実施された。CRM強化というテーマに基づき、ステップ1では、顧客データに対する分析力の強化、マスターデータの整備、分析システムの刷新などを行い、ステップ2では、分析結果をいかに顧客に還元し、さらに顧客からフィードバックを得るというようなPDCAサイクルをうまく回せるように仕組みを整備したという。

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