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» 2013年07月31日 08時00分 UPDATE

一から学ぶタレントマネジメント戦略:【第1回】企業がタレントマネジメントを成功させるためには? (1/2)

本連載では、現在脚光を浴びているタレントマネジメントの本質を明らかにします。

[森井茂夫(プライスウォーターハウスクーパース),ITmedia]

 米SuccessFactorsや米SilkRoad technologyなどの外資系クラウドサービスで火のついた感のあるタレントマネジメントシステム。独SAP、米OracleといったERPパッケージを提供するベンダーや、国産人事パッケージベンダーも相次いで機能強化を図っています。このようなにぎやかな市場の動きの中で、人事部門やシステム部門の担当者には、システムを導入しさえすればうまくいくという考えの人たちや、逆にこれは一時のはやりもので、これまで通りのやり方で何の問題もないという人たちがいます。果たしてそうなのでしょうか。

 この連載では、これまでの人事管理システムや人事情報システムと比較する形で、現在脚光を浴びているタレントマネジメントの本質を明らかにし、企業が業務面およびシステム面で効果を上げるためのポイントを押さえていきます。

人事管理の変貌

 「人は石垣、人は城」というような言葉を口にする経営者が多いように、企業において人材は昔から重要な経営資源と見られており、人事の重要性も常に言われてきました。それなのになぜ今、タレントマネジメントが注目されているのでしょうか。

図1 人材の変化 図1 人材の変化

 本質的には“求められる人材”と“管理対象の人材”の変化にあると考えられます(図1)。ここ数カ月、円安が進んできたといっても、日本の賃金水準が国際的に見て高いことに変わりはありません。一般的な製品を高品質で大量に製造し、安く供給するという戦略は、途上国の技術力向上などによって困難になってきており、我が国の産業は全体的に見れば、他社がやっていない独創的な製品・サービス、より高い付加価値を持つものへとシフトしていかざるを得ないでしょう。

 こうした変化の中で、自ら目標を立て、周囲を巻き込んで実現していく人材、他者とのあつれきを恐れず独創的なアイデアを具現化させていく人材の重要性がより増しています。マネジメントからリーダーシップへと、求められる人材能力の重点も移ってきています。しかも変化の激しいビジネス環境はそのような人材が出てくることを悠長に待ってはくれません。いち早く才能を見出し、育て、活躍の場を与えることが求められているのです。

 一方で、これまで「男性・正社員・日本人」が多くを占めていた日本企業の人材管理の対象も大きく変わってきています。雇用形態の多様化や女性の進出はもとより、海外が単なる生産や販売の拠点から、企画−生産−販売と完結する市場となってきたことで、外国人の優秀な人材の必要性、重要性が大きく高まっています。多様な価値観や能力を持つ人材を発掘し、地理的にも遠く離れた場所で働く人材を束ねていかなければなりません。

 こうした環境においては、人事管理も変わらざるを得ません。ひとことで言うと、入社年次や同一職位を単位とした「マス管理」から、社員一人一人に着目した「個別管理」へのシフトです。社員の能力、知識、経験、志向、価値観、パフォーマンスなどさまざまな情報を把握し、それらを総合的に評価し、各人により適した育成、配属、処遇を行います。これには多大な情報とその処理が必要となります。ITの進歩がこのような人材情報を効果的、効率的に扱うことを可能にしたほか、クラウドサービスも利用を助長しました。このように、人事のニーズとITのシーズがかみ合ったことが、今、タレントマネジメントが注目される理由です。

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