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» 2013年10月24日 09時00分 UPDATE

Teradata PARTNERS 2013 Report:統合データウェアハウスで「情報の拠点」づくりを進める野村証券

アベノミクスの恩恵を受け、個人顧客の預かり資産が90兆円を突破、来年から始まる「NISA」でも攻めの経営が続く野村証券がTeradataで統合データウェアハウスを構築、「情報の拠点」づくりを進める。

[浅井英二,ITmedia]
takikawa01.jpg PARTNERSで事例を紹介した野村証券の滝川氏

 米国時間の10月23日、テキサス州ダラスで行われているTeradataユーザーグループの年次カンファレンス、「Teradata PARTNERS 2013」は3日目を迎え、大規模なエンタープライズ統合データウェアハウスを構築した野村証券がその事例を紹介した。

 野村証券の設立は大正末期、およそ90年の歴史を持つ野村ホールディングスの中核企業。リテール部門の口座数は500万というダントツの最大手だ。アベノミクスの恩恵を受け、個人顧客の預かり資産も90兆円を突破、来年から始まる「NISA」(少額投資非課税制度)がさらに追い風になるとみられており、貯蓄から投資へと向かう個人資産をしっかりと取り込めるよう攻めの経営が続く。

 データから価値を引き出し、顧客満足度の向上に生かそうという機運は今に始まったわけではないが、情報システムの肥大化と複雑さから肝心のデータが分断されてしまっており、これが大きな壁となっていた。情報を活用し、顧客の満足度を高めるべく、同証券はリテール営業支援システム全体の刷新に踏み切る。それと同時に複数システムのデータを1箇所に集約し、整理し、さらに拡充する大規模な統合データウェアハウスを構築するプロジェクトもスタートさせる。

 国内IT戦略部店舗サービス開発課の滝川純課長代理は、このプロジェクトを物流システムにたとえ、「顧客情報の拠点づくり」と表現する。いったん巨大なセンターに集められ、整理されて配達されていく宅配便のシステムを思い浮かべると分かりやすいだろう。システムごとに顧客の属性情報や接触情報はばらばらだったり、算出基準が異なる数値が同じ名前で使われているなど、現実の情報システムは課題が山積みだ。滝川氏はデータを拡充するための試行錯誤も経験する。

system01.jpg 野村証券リテール部門の統合データウェアハウス(クリックで拡大)

 2年を掛け、7ノード + 4スタンバイノードの「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 6650」で構築された統合データウェアハウスは今年1月にリリースされ、15の業務システムからデータをロードし、オンラインで検索や分析に役立てるほか、8つのCRMやデータマイニングシステムにデータを配信する。

 「顧客情報に付加価値を付け、支店やコールセンター、あるいはインターネットの各種システムに自動配信し、素早い検索によって“今”を理解し、より深い分析によって将来を予測するための土台づくりが出来た」と滝川氏。

 以前は「遅くて使えない」と不満を寄せられることもしばしばだったが、クエリ性能も10倍以上改善され、ユーザー数は400人から2000人に、1日当たりのリクエスト件数も8000件から2万件に増えた。

 また、よく使われる検索や会社として取り組む検索は、BIツールの「TeraWebReport」でテンプレート化して支店に配布し、蓄積されたナレッジを全社で共有する仕組みも用意した。「さくさく検索」と名付けたこのフロントエンドツールでは、クリックだけで検索結果が得られるほか、簡単にカスタマイズもできるようにした。

NISA対応の迅速化にも貢献

 「情報の拠点」として構築しているため、集約・整理されたデータは、新しいシステム開発の迅速化にも大いに貢献する。

 来年から始まるNISAでは短期間で膨大な口座開設手続きを処理しなければならず、営業担当者は顧客のためにそのステータスを把握する必要があるが、情報の拠点が構築されているため、「NISAステータス」照会システムはわずか1カ月で開発できたという。これにより、営業担当者が問い合わせに迅速に回答できるようになったほか、まだ申し込んでいない顧客も把握することができるようになったという。

 また、同証券が展開している紹介キャンペーンは、紹介された家族や知人が口座を開設し、実際に対象商品を購入した場合に謝礼金が支払われるもので、その判定は複雑だ。こうしたキャンペーンに伴うプレゼント処理も、従来は複数のシステムを使いながら12人日掛かっていたが、新しいリテール営業支援システムでは2人日で済むようになったという。

 「ようやく分析のための基盤が整った。今後は、さらに顧客の行動に伴うビッグデータなどへ活用の幅を広げ、より深い分析によって野村証券のサービス水準を引き上げ、顧客満足度を高めることに貢献していきたい」と滝川氏は話す。

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