Hadoopはブラックホール? ビッグデータ分析基盤には「実験室」が欠かせないとTeradataTeradata PARTNERS 2013 Report(1/3 ページ)

「Teradata PARTNERS 2013」がダラスで開幕した。Teradata、ディスカバリープラットフォームのAster、そしてHadoopという3種類の並列処理型データベースをシームレスに連携できる「Unified Data Architecture」を採用し、ビッグデータ分析基盤を構築する企業が50社を超える。

» 2013年10月22日 09時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
今年、PARTNERSは「データが持つパワーの解放」をテーマに掲げた

 米国南部の大都市、テキサス州ダラスはスケールが違う。空の玄関、ダラスフォートワース国際空港からして、JR山手線の内側がすっぽり入るほどの広大さ。飛行機の窓から美しい幾何学的な模様に見えた滑走路やターミナルも次第に高度を下げるとその全容がすっかり分からなくなる。ダウンタウンのホテルから周囲を見回しても、どこまでも緑の地平線が続く。

 米国時間の10月21日、Teradataユーザーグループの年次カンファレンス、「Teradata PARTNERS 2013」がダラスコンベンションセンターで開幕した。業種を問わず、膨大かつ多様な「ビッグデータ」の分析・活用が競争優位を築くカギとなる中、「Big D」の愛称を持つダラスをPARTNERSの開催地に選ぶところあたり、Teradataのユーザーグループもなかなか洒落ている。

 既に前日の日曜から多くのセッションが始まっているが、本格的な開幕を告げるのは、月曜朝のゼネラルセッション。1万人は入ろうかというアリーナで最初のスポットライトを浴びたのは、PARTNERSの運営委員長、スーザン・ワトソン氏だ。今年で28回目を数えるPARTNERSは、ユーザーが主体となって企画・運営されており、彼女もオハイオ州ダブリンのCardinal Healthで顧客データとアナリティクスのディレクターを務めている。

PARTNERS運営委員長、Cardinal Healthのスーザン・ワトソン氏

 フォーチュン500のCardinal Healthは、毎日、10万カ所以上の病院や薬局などに医薬品や医療品の届けるヘルスケアサービス企業。約3万人が働き、年商は1000億ドルを超える。

 「Cardinal Healthはこれまで経験したことのない変化の真っただ中にある。しかし、それは新たな機会でもあり、データのパワーを活用することで競争優位を築くことができる。われわれも“今”を知るだけでなく、“将来”を予測することにも取り組み始めた」とワトソン氏。

 医薬品の巨大なサプライチェーンを担う同社にとってその最適化は生産性向上やコスト効果をもたらすとともに、患者の命を救うことにもつながる。例えば、インフルエンザのような感染症が広がると、医師や医療機関は薬が入手できなくなるのを恐れ、手元に余分を確保しようとするが、そうなると本当に必要としている患者に薬が行き渡らなくなってしまう。そのため、データから必要以上に備蓄しようとしている予兆をつかみ、未然に防止しようという試みも始めている。必要なときに必要な医薬品が届けられれば、医師や医療機関が余分に注文することもなくなる。

 Cardinal Healthでは、サプライチェーンを最適化すべく、倉庫やトラックを含めた、より多くのデータを統合し、物流全体の可視化を進めているが、今後さらにデータポイントを増やし、アナリティクスの精度を高めていくという。

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