世界をビッグデータで変えられるのか?IBM Information On Demand 2013 Report(1/2 ページ)

1万人を超える参加者がラスベガスに集結。米IBMの年次カンファレンス「IBM Information On Demand 2013」が開幕した。

» 2013年11月05日 18時56分 公開
[伏見学,ITmedia]

 米IBMは11月4日(現地時間)、ネバダ州ラスベガスのリゾートホテル「Mandalay Bay Resort and Casino」において、ユーザー向けの年次カンファレンス「IBM Information On Demand 2013」を開幕した。同カンファレンスは、データベースやビジネスアナリティクスなどの製品ブランドを手掛けるソフトウェア事業部門が主催するもので、今年で8回目となる。参加者は1万1000人、750以上のテクニカルセッション、300以上の顧客講演が予定されている。

 今年のカンファレンステーマは、「Think BIG Deliver BIG Win BIG」。昨年のテーマがThink BIGであったことから、勝利、すなわち顧客獲得や利益拡大など現実的なビジネス成長にまでビッグデータ活用をつなげていくことが企業にとって不可欠だということだろう。

「IBM Information On Demand 2013」が今年もラスベガスで幕を開けた 「IBM Information On Demand 2013」が今年もラスベガスで幕を開けた

 今回のイベント全体の進行役を務めるのは、データサイエンティストのプロボノ集団、米Datakindの創設者であるジェイク・ポルウェイ氏だ。以前、米New York Timesの研究開発部門にデータサイエンティストとして勤務していたポルウェイ氏は、2011年、社会的に意義あるデータを収集、分析し、優秀なデータサイエンティストとさまざまな組織をつなぐことを目的にDatakindを設立した。ポルウェイ氏はオープニングのキーノートで、「ビッグデータで世界をより良いものに変えるにはどうすればいいか」と聴衆に問い掛けた。

誰もがスーパーヒーローに

ジェイク・ポルウェイ氏 ジェイク・ポルウェイ氏

 ビッグデータとは何か――。今でもなおこうした対話がITやビジネスの現場でなされることからも分かるように、ビッグデータの解釈は人によってさまざまだ。「ビッグデータというと、サーバやストレージ、スプレッドシート、あるいは数字の0や1を思い起こす人がいるかもしれない。しかし、データというのは、もっとパーソナルなものであり、我々の生活にかかわるものなのだ」とポルウェイ氏は述べる。実際、数年前を振り返ると、ビッグデータがもたらした価値は明白だという。

 「2000年ごろ、映画はレンタルビデオ屋で借りるのが当たり前だった。今ではWebサイトでボタンをクリックすれば、(顧客データを基に)カスタマイズされて自分の好みに合った映画が次々と紹介される。意思決定の質が大きく変わった。そのほかにもあらゆる物事がデジタルのインタフェースで行われるようになった」(ポルウェイ氏)

 さらに、データというものは、活用次第でさまざまな社会問題の解決にも影響を与えることができるという。ワシントンD.C.に本部を構える非営利団体、DC Action for childrenは、子どもや若者が直面する重要な問題に対して、データに基づいた分析と政策のリーダーシップを提供している。ポルウェイ氏によると、かつてDC Action for childrenは、子どもの教育などに関する実態調査データを何百、何千という行と列だけのスプレッドシートに落とし込んでいたが、そのデータをワシントンD.C.のエリア図などにマッピングしたところ、データの活用が非常に進んだという。また、ニューヨーク市の樹木データや世界銀行の貧困データなどの事例も紹介された。

 「データとテクノロジーを使って世界を変えることができる。一般の人々でもスーパーヒーローになれるのだ。これは素晴らしいこと」(ポルウェイ氏)

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