クラウド運用管理

仮想化するほど足りなくなる――はなぜ起きるのか?クラウドファースト時代の運用ベストプラクティス(1/2 ページ)

スッキリするはずがどんどん増えていく……。多く企業が導入している仮想化に、さまざまな運用上の課題が浮上している。その原因と解決へのヒントは何か? 日本仮想化技術の宮原徹氏が解説する。

» 2013年11月25日 11時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 今や仮想化技術は、規模や業種を問わず多くの企業で採用されるようになった。IDC Japanが2013年6月に実施した調査によれば、大手企業の約60%が2010年以前からサーバ仮想化を実施し、中堅・中小企業でも2011年以降に実施するところが増えている。仮想化環境の運用にも定着してきた感があるものの、物理環境とは異なる課題に直面するケースは少なくないようだ。日本仮想化技術の宮原徹代表取締役社長兼CEOに、仮想化環境の運用における課題と解決に向けたヒントを聞いた。

 宮原氏によれば、データセンターでは大多数のシステムを仮想化環境に移行している。「例えば、ISDNでデータ交換をしなければならないEDIシステムといったものを除くと、大部分のシステム集約化が進んでいる。仮想化していく中で取り残された点が、いま課題になっている」と指摘する。

スッキリするはずが……

日本仮想化技術 代表取締役社長兼CEOの宮原徹氏

 長年にわたって仮想化環境を運用している企業において、今最も大きな課題になっているのが、ストレージやデータに関する問題である。

 企業が抱えるデータの容量は年々増えるばかりだが、仮想化が進むにつれて仮想マシンなどに関するデータも増えている。初期から仮想化に取り組んできた企業では当初に導入したストレージシステムの保守・メンテナンスの期限が迫り、データの増加に対して現行システムを拡張させるか、新システムを導入するのかという選択に迫られている。

 さらにはシステムの集約化が進んだことで、ストレージに対する要求も変わってきたことが挙げられる。データベースやメールなどのようなシステムでは高いパフォーマンスが求められる一方で、アーカイブシステムのようにアクセス頻度の低いものもある。

 ストレージはアプリケーションの用途に合わせざるを得ない面があるだけに、仮想化によってシステム全体を効率的に運用させていく上での大きな課題になっている。

 「ストレージ周辺の課題に対しては、SSDをキャッシュに利用するなどしてパフォーマンスの改善を図るといったアプローチはある」と宮原氏は解説する。とはいえ、増える一方のデータにどう対応するかという面では、より抜本的な取り組みが求められるだろう。ストレージの容量と性能を把握しておくことが運用管理におけるポイントであり、そのためには、まずシステムの状態をきちんと知ることが第一歩になる。

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