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» 2013年11月25日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:日本IBMが地域イベントで明らかにしたクラウドサービスの全容

日本IBMが先週、名古屋でプライベートイベントを開いた。昨年来、全国地域での営業展開に注力しているが、今回の同イベントではクラウドサービスの全容も明らかにした。

[松岡功,ITmedia]

始まった「IBMリーダーズ・フォーラム」第3弾

 「中部地域で3度目のリーダーズ・フォーラムにおいでいただき、ありがとうございます」

 「IBMリーダーズ・フォーラム2013 中部」で話す日本IBMのマーティン・イェッター社長 「IBMリーダーズ・フォーラム2013 中部」で話す日本IBMのマーティン・イェッター社長

 日本IBMのマーティン・イェッター社長は11月20日、同社が名古屋市内のホテルで開いた「IBMリーダーズ・フォーラム2013 中部」の冒頭でこう挨拶した。

 IBMリーダーズ・フォーラムは、全国地域の営業強化策として同社が昨年7月に支社を開設した東北(仙台)、中部(名古屋)、関西(大阪)、西日本(福岡)の4地域で開催しているプライベートイベントで、今回が第3弾となる。名古屋を皮切りに、来月にかけて残り3地域で順次開催する予定だ。

 各地域の産・官・学の「リーダー」を招いた同イベントは、昨年5月に日本IBMの社長に就任したイェッター氏の肝いりの活動で、同社幹部も顔を揃える力の入れようだ。昨年秋および今年春に続く今回の同イベントでは、「成長への挑戦 — テクノロジーが支える進化する経営」と題し、スマートな企業に向けたクラウドの活用などが話題に上った。

 まず、挨拶に立ったイェッター氏は、スマート企業について次のように説明した。

 「企業はこれから、データを駆使した精度の高い予測分析に基づく意思決定、情報と知見を生かした新たな生産プロセスと製品による価値の創造、“個客”のニーズに応えた価値の提供といった3つの要素を追求していく必要がある。これこそがスマートな企業への変革だ」

 そして、スマート企業への変革を支える基盤として、従来とは異なったテクノロジーや組織の構成員と文化、リーダーシップが求められると指摘。そうした企業の取り組みに向け、同社がクラウドサービスをはじめとしたトータルソリューションを提供していくことを強調した。

地域の有力者が語るビジネスのチャンスとリスク

 同イベントのメイン企画である地域の有力者によるパネルディスカッションでは、「Sustainable Growth — 成長におけるチャンスとリスク」をテーマに、岡谷鋼機の岡谷篤一社長、サーラコーポレーションの神野吾郎社長が登壇。日本IBMの三瓶雅夫専務執行役員が加わり、中部日本放送の石塚元章解説委員がモデレーターを務めた。

 左から、中部日本放送の石塚氏、岡谷鋼機の岡谷氏、サーラコーポレーションの神野氏、日本IBMの三瓶氏によるパネルディスカッション 左から、中部日本放送の石塚氏、岡谷鋼機の岡谷氏、サーラコーポレーションの神野氏、日本IBMの三瓶氏によるパネルディスカッション

 成長におけるチャンスとリスクについて、各氏は次のように語った。

 「チャンスをつかむためには、常に前進していくことが大事。当社の場合だと、ここ20年ほどでグローバル展開を大きく広げたことが成長につながっている。一方でリスクとしては、グローバルに広がった拠点の従業員に当社の理念や文化をどう浸透させていくかがある。これは根気よく培っていくしかない」(岡谷氏)

 「社会が目まぐるしく変化していく中で、その変化をチャンスととらえることが大事。地域に密着したビジネスを展開している当社としては、地域社会の変化に迅速に対応していくことを心掛けている。一方でリスクとなるのは、会社が大きくなるとつい保守的になりがちなことだ。常にチャレンジ精神を失わないようにしたいが、しっかりとしたリスクマネジメントも行っていかなければいけない」(神野氏)

 「昨今、ITと実ビジネスの融合が一段と進みつつある。この動きは企業にとって大いにビジネスチャンスとなる。一方で、企業が新たなIT化を進めていく上では初期の投資リスクが伴うが、クラウドなどのテクノロジーを有効活用すれば、そうしたリスクも軽減できるようになる」(三瓶氏)

 また、将来に向けて最も注力したい点について、岡谷氏は「グローバル展開においてもIT活用においても、結局は人材が生命線。多様な人材をどう育成していくかが最重要課題となる」と人材育成を強調。一方、神野氏は「当社グループではさまざまな事業を展開しているが、共通テーマとして“サーラクオリティ”を掲げている。経営効率を高めながら、それぞれの分野で強みを持ち、全体としてのクオリティを向上させていきたい」とクオリティをキーワードに挙げた。

 ちなみに、岡谷鋼機は創業340年を超える歴史を持ち、サーラコーポレーションは都市ガスをはじめ事業の多角化を積極的に進めている。その両トップが語る言葉は、非常に重みのあるものだった。

激戦区の「持たないプライベートクラウド」へ攻勢

 同イベントでは、IBMが展開するクラウドサービスについても説明が行われた。講演を行った日本IBMの下野雅承副社長 執行役員によると、「モバイル、ソーシャル、アナリティクスの活用のベースとしてクラウドが使われることで、今ビジネスのトランスフォーメーションが真に起こりつつある」とし、IBMが展開するクラウドサービスの全容を描いた図を示しながら、プライベートクラウドからパブリッククラウド、ハイブリッドクラウドまで、顧客ニーズに応じて提供していると説明した。

 筆者の記憶では、IBMが展開するクラウドサービスの全容を1枚の図で見たのはこれが初めてだ。パブリックとプライベートのクラウド形態のありようや言葉の使い方を見ると、改めてIBMのクラウドサービスへの取り組みがよくわかる。

 下野氏は、この図に描かれた個々のクラウドサービスとともに、今年夏にIBMが買収した米SoftLayerのIaaS型サービスを軸に、図の中央に記されたハイブリッド型の専用プライベートクラウドに一層注力していくことも強調した。逆に言えば、SoftLayerのサービスが加わったことで、クラウドサービスの全容が明確になったとも見て取れる。

 IBMが展開するクラウドサービスの全容 IBMが展開するクラウドサービスの全容

 IBMが言うこの専用プライベートクラウドは、IT資産をクラウドベンダーが所有し、それを特定の企業グループが利用する「ホスティング型プライベートクラウド」と呼ばれる形態のものだ。ユーザー企業が所有しないことから「持たないプライベートクラウド」ともいわれる。実はこの「持たないプライベートクラウド」が、クラウドサービス市場で今もっとも激戦区となりつつある。

 つまり、IBMはSoftLayerのサービスを取り込んだことで、その激戦区にさらなる攻勢をかけようというわけだ。しかもパブリックからプライベートまで全てのサービスを取り揃えた上でだ。それを示したのが、全容を描いたこの図である。

 さらにいえば、日本IBMが今回のイベントでこうしたクラウドサービスの全容を恐らく初めて示して見せたところに、同社の地域展開への力の入れようがうかがえる。これから行われる3地域でのイベントでも大いに注目を集めそうだ。

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