ビッグデータも「統合」がカギ、TeradataとHadoopで「ニッポンの課題解決エンジン」を目指すヤフー(1/2 ページ)

「Teradata Universe Tokyo 2014」では、TeradataとHadoopを組み合わせ、全社を挙げてビッグデータを分析・活用するヤフーが、その取り組みを紹介した。サービスをより良いものにしていくためには、組織の垣根を越え、横串しでデータを掛け合わせる「統合」がやはりカギを握るという。

» 2014年03月25日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
Teradataのマイク・コーラー社長兼CEO

 業界ではビッグデータやアナリティクスがもてはやされ、やや過熱気味だが、先週都内のホテルで「Teradata Universe Tokyo 2014」を開催したTeradataもそれらを追い風とし、着実な成長を遂げている。

 7年前、NCRからスピンオフしたTeradataは、世界の大手金融、通信、流通を中心とした約2600社の顧客を抱え、彼らが保有するデータ資産から価値を引き出すための基盤を提供している。NCR創業の地であるオハイオ州デイトンに今も本拠を置く同社は、昨年27億ドル近くを売り上げる統合データウェアハウスのリーダーだが、「最大ではなく、顧客企業に価値をもたらす最高のパートナーでありたい」とNCR時代からのベテラン、マイク・コーラー社長兼CEOは話す。

 「誇大宣伝のせいかもしれない。ビッグデータといえばHadoopを導入するケースが増えているが、そこから効率良く価値を引き出すための戦略を描けていない企業が多い。これまでわれわれは、企業内の何万人、何十万人というビジネスユーザーのためのソリューションを提供してきた。彼らは日々顧客と接し、ほんの数分前のフレッシュなデータも反映した、リアルタイムの意思決定を迫られているのだ」とコーラー氏。

 企業では、ERPやCRMといった基幹システムからさまざまな業務データが刻々と生み出されている。データウェアハウスは、これらをソースとし、企業全体で「統合」することによって、データから価値を引き出し、その価値をビジネスユーザーに提供する。「Teradata」データベースは約30年前、並列処理型のリレーショナルデータベースとして産声を上げた。あらゆる処理を並列で行おうとするアーキテクチャーはいまだに他社の追従を許さない。「これまでにどんな商品を買ったのか?」「どんな商品と一緒に買ったのか?」「収益性は?」── 顧客が店舗やコールセンター、あるいはWebサイトを訪れとき、さまざまな「問い」にいつでもすぐに答えることで、ビジネスユーザーの意思決定に役立てることができる。

 一方、Hadoopはビッグデータの取り込みとアーカイブには優れているが、MapReduceプログラミングフレームワークを使いこなしたバッチ処理が主体となる。また、簡単にサーバを追加して拡張できるスケーラビリティーには優れているが、使用効率や管理性には難がある。

適材適所、Hadoopも取り込むUnified Data Architecture

 Teradataは2012年10月、統合データウェアハウスのTeradata、ディスカバリープラットフォームの「Aster」、そしてデータプラットフォームのHadoopという3種類の並列処理型データベースをシームレスに連携できる「Unified Data Architecture」(UDA)を発表した。ビッグデータの取り込みとアーカイブに優れた性能を発揮するHadoopと、ビッグデータから洞察を発見することに長けたAsterを上手く組み合わせて使えるだけでなく、これらの分析結果を「追加データ」として、Teradataデータウェアハウスに統合し、意思決定の精度を高められるとする。

 AsterやHadoopを既存のTeradataと組み合わせてビッグデータ活用に取り組む同社の顧客も増えており、「ビッグデータ関連事業は昨年4倍に拡大した」とコーラー氏は明かす。

 Googleの論文に触発されてHadoopを開発したYahoo!も、HadoopとTeradataを併用する顧客企業の1社だ。

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