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» 2014年05月20日 16時39分 UPDATE

IBM Edge 2014 Report:レノボで、x86市場のNo.1を獲りたい

IBMのシステム事業が主催するグローバルカンファレンス「IBM Edge 2014」が米国・ラスベガスで開幕した。

[大津 心,ITmedia]

 「私はいま非常にエキサイティングしている。あらゆることが好転してきている」と語るのは、米IBMでx86部門の事業責任者を務めるアダリオ・サンチェス(Adalio Sanchez)氏。陽気でジョークを交えながらグイグイ押してくるカリスマ性は、穏やかな紳士が多いイメージのあるIBMらしくない、例えば、salesforce.comのマーク・ベニオフ氏に似た印象だ。米IBMは、ストレージ/サーバ関連イベント「IBM Edge 2014」を5月19日(現地時間)に開幕。同イベントでサンチェス氏に話を聞く機会を得たので、x86部門売却の意図や今後の方向性について紹介したい。

最大のメリットは“メモリ価格”

サンチェス氏写真 米IBM x86/Pure Systems Solutions部門 ゼネラルマネージャー アダリオ・サンチェス氏

 同氏は、1月23日に米IBMがx86サーバー事業の売却を発表してから4カ月経ったいまも世界中を飛び回り、顧客に今回の買収による影響や今後の計画を説明して回っているという。そして、前述のセリフのように顧客の多くが今回の買収を好意的に受け止めており、手応えを感じていると言うのだ。

 サンチェス氏が今回のレノボへの売却でメリットを感じる理由のひとつが「メモリ」だ。いまやメモリの価格低下や性能が大きく向上したため、サーバーへのメモリ搭載量は増加し続けている。同氏によると、メモリの価格はサーバー本体価格の1/3を占めるという。このように本体価格の1/3を占めるメモリは、現在主要4社から提供されており、当然仕入れ量に応じて仕入れ額も大きく変わる。その点、レノボはIBMから買収したThinkPad事業が好調でメモリ仕入れ量もIBMの約10倍の規模になっており、当然メモリの仕入れ価格もかなり安く調達できるという。この面だけを考えても、競合他社との価格競争力が大きく上がる。

 逆にIBMは原価を下げない限り、利益を落として価格競争するしかなく、このままでは赤字転落も視野に入っていただろう。そうなる前に、原価率で競合と十分渡り合えるレノボへの売却を決めたと考えられる。

シームレスな過渡期を提供

 一方、多くの顧客が不安に感じているのは、今後の保守体制やチャイナリスクについてだ。この点について同氏は、「IBMのクオリティを守る」「ビジネスの効率化を守る」「自分たちが信頼を生み出す」の3点をコミットし、「シームレスな過渡期を提供する」と強調する。

 まず、「IBMクオリティを守る」点については、サンチェス氏が現在IBMで率いている、開発、品質保証、サービス、営業など、x86部門に所属するほぼ全員に当たる7500人がレノボへ移籍し、担保するという。また、製品ラインアップについても、レノボが従来から持つ1way/2wayサーバーは新興国向けに提供し、System xは先進国中心に現行シリーズを継続してすみ分ける。また、ロードマップも「レノボ/System xともに製品ブランド・製品ポートフォリトを今後も継続する」とコミットした。

 「基本的にIBMのx86部門に所属する社員全員がレノボへ移籍する。当然私も部門長(シニアバイスプレジデント)として移籍する。従って、売却後に営業担当者や開発者が急に変わるといったこともない。また、IBM側も5年間の保守を保証している」(サンチェス氏)

 また、チャイナリスクについては、「ThinkPadの売却以降、レノボはグローバルカンパニーに成長している。香港で株式を公開し、経営陣の90%は中国人以外が務めている。本社も北京と米国ノースカロライナに持っている。日本の開発拠点も継続する。この点からも、ゼロではないだろうが、大分少ないと言えるのではないか」と述べた。

目指すはx86のNo.1。シェア、満足度などすべてで1位に

 サンチェス氏も登場した「IBM Edge 2014」の基調講演では、x86サーバーの導入事例として、コカ・コーラでテクノロジーストラテジー・アーキテクチャー担当ディレクター ロヒット・ラル(Rohit Lal)氏が登壇した。

ラル氏写真 米コカ・コーラ テクノロジーストラテジー・アーキテクチャー担当ディレクター ロヒット・ラル氏

 ラル氏によると、コカ・コーラはフランチャイズが重要で、地域毎に戦略を調整することが必要だという。そして、コスト効率を上げることが最大のミッションになっていた。そこで、従来個々のボトラーが持っていた6つのシステムを、ITのシェアードシステムを使って共有化、大幅な効率化を実現したという。

 また、同社の課題として“リアルタイムのアナリティクス”が挙げられていた。従来のレガシーシステムではクエリに60分かかることがあり、とてもリアルタイムとは言えない状況だった。これを、IBMのx86サーバーとSAP HANAの組み合わせに移行。クエリが2.5秒に短縮されたと言う。ラル氏は「やはり、決め手はパフォーマンスの良さ。パフォーマンスが改善されたことで、余計なチューニングに必要な開発やメンテナンスも減少し、トータルコストも下げることができた」とコメントしている。

 最後にサンチェス氏は、今後について「まずは、x86市場でNo.1シェアを獲りたい。IBMの品質・テクノロジーに加え、価格競争力も付けば十分見える位置だ。シェアだけでなく、顧客満足度でも1位を獲る」と目標を示した。

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