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» 2014年10月06日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:Microsoftが注力するクラウド・パートナー戦略

Microsoftがクラウド事業におけるパートナー戦略の展開に一段と注力している。今年7月には新施策も打ち出した。同戦略の全容についてキーパーソンに聞いてみた。

[松岡功,ITmedia]

クラウドOSビジョンに示したパートナーの存在

 「私たちのクラウド事業の拡大は、ビジネスパートナーであるサービスプロバイダーの皆さんに、私たちのサービスをどれだけ扱っていただけるかにかかっている」

米Microsoftホスティングサービスプロバイダー事業部門担当のマルコ・リメナ バイスプレジデント 米Microsoftホスティングサービスプロバイダー事業部門担当のマルコ・リメナ バイスプレジデント

 米Microsoftでホスティングサービスプロバイダー事業部門の責任者を務めるマルコ・リメナ バイスプレジデントは、筆者との単独取材の中で幾度もこう強調した。

 実は、Microsoftはこの1年ほどの間に、クラウド事業におけるパートナー戦略の展開について、新たな施策も含めて着実に拡大を図ってきている。だが、その全容については見えづらいところがあった。そこで先週、筆者は来日したリメナ氏に取材する機会を得たので、同戦略の全容について聞いてみた。

 リメナ氏によると、同社のクラウド・パートナー戦略を語る上でキーワードとなるのが「クラウドOS」である。クラウドOSとは、顧客企業が所有するオンプレミスを含めたプライベートクラウド、サービスプロバイダーが提供するパートナークラウド、そしてMicrosoftが提供するパブリッククラウドに対して、一貫したプラットフォームを提供しようという同社の事業ビジョンである。(図参照)

Microsoftの「Cloud OS」ビジョン Microsoftの「Cloud OS」ビジョン

 MicrosoftがこのクラウドOSビジョンを打ち出したのは昨年秋。その内容で注目されるのは、このビジョンを構成する基本要素の1つとしてサービスプロバイダーを位置付けたことだ。同社は以前からクラウド事業を展開しており、パートナー展開も図ってきたが、このビジョンをもってクラウド事業における全社統一のグランドデザインを明確にした形だ。そこから同社のクラウド・パートナー戦略も本格的に動き出したと言っていい。

 そうした中で、リメナ氏によると、同社のクラウド・パートナー戦略におけるプログラムは現在、次の3つに大別されるという。

 まず1つ目は、「ホスティングサービスプロバイダー(以下、HSP)」プログラムである。これは、ホスティング型のソフトウェアやサービスを顧客企業に提供するライセンスプログラムで、現在このHSPパートナーはワールドワイドで約2万6000社に上るという。

 まさに同社のクラウド・パートナー戦略を支えるプログラムだが、これについてはクラウドOSビジョンを打ち出す前からの活動が大きく広がってきた形だ。

サービスプロバイダーとの協業は最重要戦略

 それに対し、あとの2つのプログラムは、同社がクラウドOSビジョンを打ち出してから設定したものとなる。

 HSPプログラムに続く2つ目は、「Cloud OS Network」プログラムである。これは、クラウドOSビジョンに基づき、ハイブリッドクラウドの基盤系ソリューションを展開するパートナー向けのプログラムで、昨年秋の施策発表時にはワールドワイドで35社が名を連ねたという。

 その35社についてはMicrosoftのサイトで公開されており、世界各地域の通信事業者や大手クラウドプロバイダーの社名が並んでいる。ちなみに日本企業では富士通、日本を含めた世界の数カ所でNTTグループのDimension Dataの名が挙がっているのが目についた。

 そして3つ目は、「Cloud Solution Provider(以下、CSP)」プログラムである。これは、主にオフィスツールの「Office 365」クラウドサービスを再販するパートナー向けのプログラムで、今年7月に発表されたものだ。この新施策については展開を始めたばかりなので、パートナーの契約数については明らかにしていないが、リメナ氏によると、従来のHSPパートナーにCSPにもなってもらえるように交渉を進めているという。

 こうしてみると、Microsoftにとって、HSPプログラムはHSPを通じて顧客企業との接点の拡大、Cloud OS Networkプログラムはハイブリッドクラウド基盤の増強、CSPプログラムはSaaS型サービスの拡大につながるものといえる。

 ただ、主にHSPプログラムを推進するリメナ氏のコメントで印象深かったのは、「HSPの皆さんが顧客企業にクラウド化を勧める際は、ぜひともMicrosoftのサービスを差別化要素として使っていただきたい」という姿勢だ。この姿勢こそがクラウドOSビジョンの真髄なのだろうと感じた。

 とはいえ、特にパブリッククラウドサービスというのは、クラウド事業者と顧客企業の間でダイレクトにつながり、流通形態において「中抜き」が起こるとも見られてきた。そう考えると、クラウド事業者にとってはパートナーと協業する必要などなくなる。Microsoftもそうした戦略に打って出るのではないかと感じた時期があった。

 リメナ氏にそうした背景を話した上で、「今はサービスプロバイダーとの協業がMicrosoftにとって最重要戦略なのですね」と念押しするように聞いてみた。すると同氏の答えは一言、「イエス」だった。

 残念ながら、今回は戦略の基本方針とプログラムの概要を聞いたところで時間切れとなってしまった。とりわけ、Cloud OS NetworkとCSPの2つのプログラムについては、さらに掘り下げて取材を続けてみたい。

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