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» 2015年01月03日 08時00分 UPDATE

2015年 新春インタビュー特集:2015年はアクセル全開、オープン化で“名刺のビジネスインフラ化”を加速――Sansan・寺田社長

「それさぁ、早く言ってよ」――。孤独のグルメでおなじみ、松重豊のテレビCMで“名刺共有のメリット”をお茶の間に知らしめたSansan。勢いに乗る同社は、2015年のビジネスシーンをどう変えていくのか。代表取締役社長の寺田親弘氏に聞いた。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo Sansan 代表取締役社長の寺田親弘氏

――: 2014年はSansanにとって、どのような年でしたか?

寺田氏: 一言で言うと「開幕前夜」ですね。米DCMなどから14.6億円の資金を得て、米国とシンガポールで名刺管理サービスをスタートさせましたし、2015年に大きな成長が期待できる新たな販売モデルの製品もリリースできました。

 法人向け名刺管理・共有サービスのSansanは導入企業が2000社を超え、三井不動産や朝日新聞、ニッセンといった大手企業への導入も増えました。これまでセキュリティ面を気にしてクラウドの導入に及び腰だった官公庁や大手保険会社からの引き合いも出てくるなど、クラウドを取り巻く環境が変化しつつあることも追い風になっています。

 私たちが目指すのは、「名刺の管理・共有をコモディティ化する」こと。いかに名刺管理を“あたりまえのもの”にし、“ビジネスのインフラ”にしていくかにフォーカスしています。

 これまでの数年間は、“社員同士で名刺を管理・共有することから生まれる価値”を理解してもらうための活動に注力してきましたが、2014年は、サービスそのものに磨きをかけてきました。その成果の1つが冒頭にお話しした新しい販売モデル、“気軽に始められるSansan”の提供です。

 これまでSansanの販売モデルは、テレビCMを含めたセールスマーケティングを中心に、営業が売っていく――というものだけでした。価格も創業時の6500円/1 IDから3500円/1 IDに値下げする努力をしてきてそれが急成長につながっているものの、安いわけではありません。サービスが持つ真の価値が分かるのも、“買って使ってもらってから”なので、営業の力に依存するところが大きかったわけです。

 しかし、これでは、私たちが目指す世界の達成に遠く及ばないという実感があったんですね。それを踏まえて、(私たちが営業をしなくても)企業が無料アプリのトライアルから気軽に始められ、サービスを気に入った社員がほかの社員を招待する――という流れの中で企業に導入される製品の開発を始めたわけです。2年近くかけて準備してきたこのサービスをようやく開始できたのは、2014年の大きなトピックでした。

 海外展開も、この製品戦略があってこそ。海外で日本と同じようなセールス&マーケティングを再現するのは難しく、“商品力で広がっていくモデル”が必要になります。

 今秋の製品リリース以降、1カ月くらいですでにお客さんがつき始めています。まだ微々たるものですが、“営業スタッフが営業をしなくても製品が売れる”モデルが回り始めたことには、とても勇気づけられますね。従来型の営業スタッフを使った販売モデルと、新しい販売モデルの両面から顧客の裾野が広がればと思っています。

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――: Sansanは「名刺の管理・共有をコモディティ化する」という目標に対して、ブレることなくスピード感を持った経営を徹底している印象を受けます。こうした経営姿勢を貫くために、リーダーとして意識していることは?

寺田氏: Sansanは、足下の施策を“バックキャスト(未来の目標となる状況を見据え、やるべきことを考える方法)する形”で考えているんです。

 例えば、名刺を取り巻く世界で僕らが思い描いているのは、5年後に入社した新人が、「昔は名刺管理って会社でやっていなかったんですか?」「どうやって働いていたんですか?」と思うようになっているとか、電子名刺があたりまえになっている10年後の若者が「昔、名刺って紙だったんですか」「いちいち紙を持ち歩いていたのですか?」と驚いているようなビジョンですね。そこから逆算して、「今、何をするべきか」を考えます。

 “X年計画を立てて積み上げていく”というよりは、“作りたい未来、描きたい未来を定性的に表現して、それと自分たちの立ち位置のギャップを埋める”ことを常に考えているので、当然、過去を否定するようなこともあるわけです。

 それでも、スタッフとの間で目標もゴールもしっかり共有できているので、切り替えは早いですね。「僕たちはあそこを目指すのだから、今、やってることはズレている。だから軌道修正しよう」「確かに。それなら修正しよう」というように、スピーディーにやれています。

 「うちの会社が目指すのは素晴らしい会社になることじゃない」――ということは常に言っています。目指すのは、「すごい価値をつくること」で、会社はそのためのツールにすぎないのです。

――: 2015年の目標を教えてください。

寺田氏: 企業向けサービスのSansanも、個人向けに提供している名刺管理サービス「Eight」も、“使うことをあたりまえ”にしていくことで、ビジネスのインフラになる。それを実現するためのキーワードは“オープン化”だと考えています。

 社内の名刺管理と共有という役割を担うSansanには、顧客の一次情報がすべて入っているので、ERPやCRM、メール、データ分析などといった業務ソリューションのすべての基礎になりうるわけです。

 これまでSansanは、SalesforceやOutlookといった一部のソリューションとは連携していましたが、“APIを公開してオープン化し、パートナーを募りながら広くエコシステムをつくっていく”ような積極的な連携施策はとってきませんでした。

 2015年は、この取り組みを加速させ、さまざまなソリューションやソフトウェアとの連携を図っていきます。そうすることで、ほかのシステムの価値が上がり、“名刺のインフラ化”や“名刺管理の当たり前化”に拍車がかかります。Sansanにつなげば、分析や会計、メール配信が楽になる――といった世界を実現していきたいですね。

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