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» 2015年04月10日 08時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第9回 インフラ選びは「アラカルト」派? 「コース料理」派?

「コンバージド・インフラストラクチャ」をご存じだろうか。欧米では飛ぶように売れ、急速に普及してきている一方で、日本ではまだほとんど知られていない。これもまた、日本のガラパゴス化が危惧されるITインフラなようだが……。

[小川大地(日本HP),ITmedia]

「コンバージド・インフラストラクチャ」とは?

photo コンバージド・インフラストラクチャ

 仮想化・Software-Definedの次は、今日現在欧米と最も差がついているかもしれない「コンバージド・インフラストラクチャ」について触れていきたいと思います。

 ちなみに、HPもすでにコンバージド・インフラストラクチャ製品を販売していますが、日本ではまだほとんど馴染みがない製品と思います。欧米との差を紹介する前に、まずはどういったものか簡単に紹介します。

 コンバージド・インフラストラクチャとは、第6回で紹介した「メーカー推奨」を具現化・強化したものです。サーバー、ストレージ、ネットワーク、管理ツールといったオンプレミス基盤で必要な機器が1つにパッケージングされています。言い換えれば“セット物”になります。

 クラウドよりも日の浅い、ここ数年の新しい考え方ですが、欧米では注目どころかメーカーが予想する以上の勢いで普及が広がっています。市場成長率は昨対比で30%増。昨年(2014年)くらいからはMicrosoftやVMware、Citrixといったソフトウェアメーカーまでもが参入するほどになりました。

 しかしながら、日本での伸びはそれほどではありません。欧米では飛ぶように売れているのに、日本では飛ぶどころか、むしろあまりよい印象を持たれていない状況さえあります。

 それはなぜでしょう。日本人は“セット物”と聞くと、「売れ残り」や「抱き合わせ」「福袋」などのよくないイメージを想像してしまうからかもしれません。メディアの記事でも“垂直統合”“ベンダーロックイン”“SIer潰し”などと揶揄の表現も見かけます。

 でも、本当に悪いものであれば欧米でここまで普及はしないでしょう。このままだと欧米とのギャップは広がるばかりで、また“ガラパゴス”と言われかねません。追って誤解を解いていきたいと思いますが、どのメーカーも売れ残りなどは採用していません。全く逆で、むしろ最も売れ筋のモデルをパッケージングしています。

記念日のレストランはアラカルト派? コース料理派?

 記念日にレストランへ行ったとしましょう。

 注文方法は大きく2つあります。1つは「アラカルト」。前菜、魚料理、肉料理などを単品注文する方法です。もう1つは「コース料理」。よくある“シェフのおすすめコース”では、季節の旬な食材から、前菜、メインディッシュ、デザートに至るまで、一連の料理を構成や順番を考えて提供してくれます。

 アラカルトはどちらかというと“食通向け”ですよね。自由に注文できる半面、構成や食べ合わせなどを考えて、自身の責任で注文しなければなりません。一方、コース料理は料理の構成がすでに定まっているので“大失敗はない/無難”な選択といえます。食べ合わせはお店があらかじめ考えてくれています。もし嫌いな食べ物があれば店員に伝えれば外してくれますし、コースであっても数種類から選べる、など多少のカスタマイズができるお店も多いですね。

 話をITインフラに戻しましょう。「アラカルト」はITインフラで言えば従来型のシステム設計だといえます。数多あるメーカーやブランドから、サーバとストレージはA社製、ネットワークはB社製といったように、好みの機器やサービスを好きに組み合わせるオーダーメイドな注文方法です。食べ合わせに相当する“相性問題”については、その組み合わせを選んだ担当者が責任を負うことになります。

 これに対し、コンバージド・インフラストラクチャは「シェフのおすすめコース」になります。ここでの“シェフ”はメーカーであり、言い換えれば “メーカーお墨付き構成”ということです。メーカーのお墨付きですので相性問題はないはずですが、万一発生したとてもその組み合わせで提供しているメーカー側に責任があります。

photo 「アラカルト」と「コース」、どちらを選びますか?

 あなたが担当者だとしたら、どちらを選択するでしょう。せっかく確保したシステム予算。失敗は避けたいところです。責任を持ってくれる方法もあるのに、自分でリスクを負ってまでアラカルトで選ぶ自信はありますでしょうか。

 なお「相性問題はリスクになる」と書きました。果たしてこれはリスクと言えるほど重要なのでしょうか。そもそも業界規格のx86インフラに相性問題なんてあるのでしょうか。次回はこのあたりを取り上げてみたいと思います。

小川大地(おがわ・だいち)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション



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