若手男性社員は危険？ モバイルセキュリティの実体（1/2 ページ）

アルバネットワークスがモバイルセキュリティのリスクに関する調査結果を発表。ハイリスクな従業員は「若年世代」のようだが、その対策を企業はどう考えるべきか。これからのネットワーク管理は、締め付けではなく「リスクを管理する」のがキモだ。

[岩城俊介，ITmedia]

アルバネットワークス 技術統括部技術統括部長の佐藤重雄氏

　ネットワーク／無線LAN機器大手のアルバネットワークスがこのほど、モバイルセキュリティのリスクに関するグローバル調査の結果を発表。企業のセキュリティ脅威レベルとユーザーの年齢層、業界、地域との直接的な相関関係が改めて判明するとともに、グローバルの結果と異なる日本の意識差も浮かび上がった。

　「全体的に、ユーザーの意識は低い」（アルバネットワークス 技術統括部技術統括部長の佐藤重雄氏）──。主に「モバイル世代の従業員（＃GenMobile）」と位置付ける、25〜35歳の従業員の意識にフォーカス。「この層は未来の担い手であるとともに、リスクを兼ね備えている」とし、機密データの保護のため、リスクが高くセキュリティ意識が希薄な従業員層の特定とサポートが必要と訴える。

　“モバイル世代の従業員”は、数ある情報デバイスを使いこなし、当たり前のものとして慣れている半面、業務でのセキュリティに無頓着になる傾向が浮き彫りとなった。この層がとりがちな危険をともなう行動の要因をかんがみ、調査では「シェアが当たり前」「セキュリティに対する無関心」「自身で機能強化してしまう（してしまえる）」、計3つの重要な“変化”に着目。企業にとってこれらはプラスにも、マイナスにも作用する項目だ。

約50％は「シェアが当たり前」の意識

　回答者の約5割が、自らの仕事用やプライベート用デバイスを日常的に他人と借用しあうと回答。例えば、写真やSNS投稿などを他人に見せる、共有するなどの行為が日常的に行われている。このうち22％は他人と迅速に簡単にシェアしたい目的で、あえてセキュリティ対策を講じていないようだ。

　さらに日本はこの割合が約30％まで跳ね上がり、使用デバイスをパスワードで保護しない割合が「世界で最も高い」結果だったことが分かった。「共有のためあえて」の回答も40％に上り、他国平均の10％台と比べると意識のギャップが極めて特徴的なことが伺える。

モバイルデバイスは「他人と簡単にシェアするばめ、あえてセキュリティ対策を講じない」とする意識の回答者が多かった。調査は23カ国、計1万1500人のビジネスパーソンに対して行われた

約9割が「自社のIT部門によって常にセキュリティが保たれている……はず」と回答

　セキュリティに対する関心のなさも課題に挙がる。約31％が「モバイルデバイスの使い方を誤り、データを損失・毀損したことがある」と答え、全体の約87％は自分の会社のIT部門によって常にセキュリティが保たれていると、他人任せあるいは自分は大丈夫といった意識があることが伺える。

　日本では「消失した」までの回答は約22％、「IT部門任せ」の意識は約78％とグローバル平均比で低めだっが、「よく分からない」が約14％とグローバル平均の約5％より飛び抜けて高かった。モバイルデバイスは、より他人任せ／自分は大丈夫の意識がある可能性を示している。

モバイルデバイスは、セキュリティへの感心が低くなる傾向も改めて分かった

「自らのモバイル活用で、業務効率を高めたい」日本ユーザーの意識が低め

　“モバイル世代の従業員”は自身でデバイスを使いこなせる。このため回答者の半数以上が「何かを実現するため、あえて上司の指示に従わないことがある」と回答。同じく半数以上（約51％）が「モバイルの技術を活用すれば、業務での生産性を高め、仕事により集中できる」と考え、約77％が自身で（IT部門に頼らず）積極的にITを実践したいと前向きに考えている。ただしIT部門が状況を把握できないシャドーIT化などの懸念から、従業員の積極的な姿勢に対し、業務シーンではリスクになる課題も同調査では指摘する。

　なお、日本ユーザーはグローバルの結果と比べると、この積極的な意識が残念ながら非常に低かった。その割合はグローバルの約51％に対し日本は28％ほどにとどまり、調査対象23カ国中22位の結果に。「分からない／どちらとも言えない」が約55％と明確な否定こそはしないが、積極的に活用すべき通信、電気、ITの業種も約34％とグローバル平均に及ばなかった。

プライベートでも使うデバイスのため「モバイルの技術を活用すれば、業務での生産性を高められ、仕事にもより集中できる」と意識が他の世代より高いが……