PDFビューア「Adobe Reader」の最新バージョンとなる「Adobe Acrobat Reader DC」は、従来バージョンとどこが変わったのか。今回は機能面の違いに迫る。
保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。
また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe-文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。
本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)
4月にリリースされた、AdobeのPDFビューア「Adobe Reader」の最新バージョン「Adobe Acrobat Reader DC」。インタフェース面の違いを紹介した前回に引き続き、今回は機能面の違いを見ていこう。
なお、前回と同様、以下のスクリーンショットは「Adobe Acrobat Reader DC」がWindows 8.1、「Adobe Reader XI」がWindows 7でキャプチャしたもので、ソフトウェア自体のデザインの違い以外に、OSの違いによる見え方の差が少なからずある。予めご了承いただきたい。
Acrobat Reader DCというソフト名の末尾につく「DC」は、「Document Cloud」の略で、同社の提供するクラウドサービス「Adobe Document Cloud」と連携することを表している。
具体的な機能としては、ほかのデバイスで開いたPDFの履歴を表示し、すばやく開ける「Mobile Link」が挙げられる。同じAdobe IDでログインすることで、各デバイスの履歴が結び付けられるという仕組みだ。
もっとも、従来のバージョンでも同様の仕組みは用意されており、PCで開いたファイルをスマホで開く場合などに利用できていたので、すでに利用していた人にとってはお馴染みの機能だ。
ちなみにこの「Document Cloud」、従来は「Acrobat.com」という名前で呼ばれていたクラウドストレージが名前を改めたものであり、新旧両方のバージョンからアクセスすると、「Acrobat.com」と「Document Cloud」が同じ場所を表していることがよく分かる。5Gバイトの容量が無料で利用できる点も、従来と同様だ。
今回のバージョンでは、ソフトウェア名に「Acrobat」が入り、バージョン6以来、久々に「Adobe Acrobat Reader」という名称が復活している。これはAcrobatファミリーのひとつであるというスタンスを明確にするのが理由だ。実際に使用していても、何かにつけて上位版であるAcrobatの存在を強く意識させられる設計になっている。
前述の「ツール」タブなどはその典型的な例といえるだろう。本ソフトでは使えない「PDFを書き出し」「PDFを作成」「PDFを編集」などのアイコンが並び、クリックすると「Acrobat DC Pro」など上位のバージョンや、「Adobe PDF Pack」「Adobe Export PDF」などのサブスクリプションの紹介画面にジャンプする作りになっている。
控えめだった従来に比べるとかなり露骨になった印象で、さながら本ソフト自体が、AcrobatのLiteバージョンといっていい作りだ。
ほかにも、新たな機能が追加されていたり、従来にはなかった項目が増えている部分も多い。スクリーンショットでご覧いただきたい。
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