スキャンの大敵、裏写りを目立たなくするテクニック3選職場で役立つデジタル化レシピ

スキャンの大敵とも言えるのが、両面印刷などの裏写り。今回はスキャンの前工程および後工程で、なるべく裏写りを発生させない、および裏写りが発生した場合に目立たなくするためのテクニックを紹介する。

» 2015年04月01日 09時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

この連載は

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 保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。

 また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe-文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。

 本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)


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 書類をスキャンする際に気になるのが、両面印刷の書類を取り込む際に発生しがちな裏写りだ。せっかく高い解像度で歪みないスキャンができても、ページのどこかに裏写りの跡があると、見づらいデータになってしまう。今回はスキャンの前工程でなるべく裏写りを発生させない方法と、裏写りが発生してしまった場合に目立たなくするためのテクニックを紹介しよう。

スキャナ側の裏写り防止機能を使う

 いま利用しているスキャナに、裏写りを防止するための機能が用意されているなら、まずはそれをオンにして試すのが鉄則だ。両面印刷によって発生する裏面の文字の透過は、これらの機能を用いることでほぼ確実に除去できる。とくに新聞紙をスキャンする際は、裏写りの文字の除去に絶大な効果を発揮することもしばしばだ。

 ただし、地の色もまとめて飛ばしてしまいがちな傾向があるため、例えば罫線の代わりに行の背景に薄い色が敷いてあったり、特定のブロックに背景色が塗られているような場合は、一緒に除去されてしまう場合がある。そのためスキャン後は最低限のチェックが欠かせない。

Photo スキャナのユーティリティでは裏写りを除去する機能が用意されている場合が多いので、これをオンにしてスキャンを実行する
Photo オフの状態(左)とオンの状態(右)の比較。ディスプレイによっては露骨に見えていた裏写りが、チェックを入れることでほぼ完全に除去できている。ただし、この例のように、背景に敷かれた薄い色をまとめて飛ばしてしまう場合も

画像処理ソフトで補正する

 Photoshopをはじめとする画像処理ソフトがあれば、明るさやコントラスト、レベル補正、トーンカーブなどの機能を用いることによって、裏写りを目立たなくすることができる。スキャナ側の裏写り防止機能と違って、強弱のコントロールも自在だ。

 ただし、複数ある補正機能のどれを用いるべきかは、ある程度の経験がないと判断できないほか、ページごとに補正値を変更するとなると、手間はそれなりにかかりがちだ。バッチ処理で複数ページを一括処理すれば手間は軽減されるが、ページごとの濃淡の違いに対応できなくなってしまう。

Photo 明るさやコントラスト、レベル補正、トーンカーブなどの機能を用いることで、裏写りを目立たなくすることが可能。ちなみにこの画面はGIMPによるもの

スキャン時に黒い裏紙を当てる

Photo 黒い文字が裏写りしている場合、背景に黒い紙を敷くことで裏写りが目立たなくなるのが分かる。この状態でスキャンし、必要に応じて画像処理ソフトで明るさを調整すれば、背景の薄いパターンを残したまま裏写りだけを除去できる

 スキャン時に裏写りを軽減する裏ワザとして、後ろに黒い紙を敷くというテクニックがある。裏写りしている文字と同じ色を後ろからあてがうことで、紙を背景に埋没させてしまう方法だ。1枚ごとに紙を重ねる手間はかかるが、背景に敷かれた薄い色を残しつつ、裏写りだけを除去したい場合に、知っておくと役立つテクニックだ。

 スキャナの種類などによってうまくいく場合とそうでない場合があるが、とくに美しくスキャンしたい原稿には試してみる価値はある。裏写りしている色が赤なら背景の紙も赤、青なら青といった具合に、同じ色に合わせてやるとより効果的だ。なお裏紙をあてることで白い部分まで全体的に濃くなりがちなので、画像処理ソフトによる補正と併用するのがおすすめだ。

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