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» 2015年07月17日 08時00分 UPDATE

萩原栄幸の情報セキュリティ相談室:夏休みに注意するセキュリティの脅威、傾向と対策は(前編) (1/3)

夏休みに入り、いつもとは違う環境ではネット犯罪など様々な危険に遭いやすい。保護者や子どもが知っておくべき最近の犯罪や危険行為などの特徴と対策や注意点を紹介しよう。

[萩原栄幸,ITmedia]

 最近の様々なサイバー犯罪事件は、被害者自らが招いてしまうケースが数多く発生している。夏休みのような長期休暇では子どももその危険に遭いやすい。そこで今回から、情報セキュリティ関連に位置付けられる事件の特徴や対策、注意点などを解説したい。一部の方は「常識だよ」と思われるかもしれないが、再確認の意味でもぜひご覧いただければ幸いである。

マネーミュールにご用心!

 数年前、筆者は警察や金融機関などの専門家が集まる会合で「マネーミュール」(金銭の運び屋)という言葉を初めて聞いた。その1年後、セキュリティの仕事でこの手の犯罪に遭遇することになったのだ、

 現在の日本ではおおよそ次のような手口が存在している。

  • 「効率のいいアルバイト、だれでも簡単に現金がもらえます」
  • 「銀行口座や入金などに協力すれば手数料を差し上げます」

 アルバイトを持ちかけるケースは、募集者が詐欺を仕掛ける人間であり、小規模なアルバイト募集サイトや広告で案内している。応募する人は詐欺であることを知らない。掲載する側も、依頼者の身元確認を最低限しかせず、金払いが良ければ広告を掲載する。犯罪者がそこを突いてくる。

 アルバイトに応募すると例えば、このように言われる。

 「海外の優良企業が国外へ進出するために、経費を事前に現地の口座に振り込む必要があります。しかし、法律の壁の高い国が多いので、いったん日本の個人口座を経由して海外に送金する必要があります。そこで、あなたの口座に100万円を入金するので、2日以内に指定の口座へ入金してください。手数料として10%の10万円をあなたに差し上げます」

 こうしたアルバイトに応募してくるのは、高校生から大学生、フリーターが多いものの、中学生もいる。その多くはアルバイトの給料の振込先を自分の個人名義の口座にしているので、詐欺を行う側にとっては都合がいい。そうやって送金を依頼するわけだ。

hggy116-1.jpg ウマイ話には裏がある……(写真はイメージです)

 ちなみに海外への送金は、金融機関によって違いはあるが、1回の送金限度額を100万円以下、1カ月間では200〜500万円という場合が多い。また、1回で200万円以上を送金すると、税務署に申告する必要がある(ただし事後)。“使い捨ての被害者”の場合、詐欺を行う側は銀行の限度額に近い送金額(例えば300万円)で送金を依頼し、それっきり連絡をしない場合が多い。そうでない場合は再度依頼をしてくる。

 このアルバイトを「割が良い」と安易にとらえるのは、非常に危険だ。加担すると、まず「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によって厳罰に処分される。警察に「知りません」という言い訳は通じない。夏休みなどではこのような「不正アルバイト」に手を出してしまう人が多数出てくるだろう。学生はもちろん、保護者も子どもがそういう事件に巻き込まれないようにするために普段から注意していただきたい。

 また、最近では宅配便などを使った「送り付け商法」ならぬ「強制振込み事件」も発生しているという。これは、何の連絡もなく突然100万〜500万円程度が入金されるというものだ。そして、その直後にメールが届く(犯人は相手を事前に調査してから実行する)。

 メールの内容は、「誤って送金した。確認すると分かるので、早急に指定する口座へ小口にして送金してほしい。手数料として振込み額の1割を差し上げる」というものだ。さらに続けて、「入金しない場合は警察に訴える。必ず入金してほしい」といった類の忠告もする。

 当然ながら、相手が入金しなかったからといって依頼した詐欺者が警察に連絡することはない。犯罪組織は自分で決着をつけるので、命が狙われると思った方がいい。よって、どういう場合でもこのような事態に直面したら、正直に警察へ相談するのが懸命だろう。

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