家族全員で「1カ月で10ギガ」というプランを契約しているのですが、予想とは違った使用実態が分かりました。その理由とは――。
わが家の携帯電話事情をお話しますと、2015年1月からいわゆる「ファミリーシェア」タイプのパケット定額を契約し、家族全員で「1カ月で10ギガ」というプランを契約しています。契約当初はこの範囲で余裕に収まるだろうと思っていたものの、4月くらいから毎月末になると「残り1ギガを切りました」というアラートメールがとんでくるようになり、6月にはとうとう使い切るという状況に。使い切ったあとは128kbpsにまで落ちてしまいます。1997年ごろ、PHSを契約していたときには32kbpsでも高速だと思っていたのですけどね……。
そしてこの7月に、とうとうMVNOに家族そろって移動しました。このMVNO業者では、各契約それぞれに高速/低速通信を切り替えるアプリがあるだけでなく、「1日でどのくらい通信をしているか」をほぼリアルタイムに見ることができます。そこを見て分かったのは、明らかに私よりも家族のほうが通信をしている、ということです。
ここで私が言いたいのは、「家族に通信を節約せよ」ということではありません。ITのリテラシーを含め、家族の中で「ITのヘビーユーザー」は、私の方でしょう。家族はiPhoneで地図を見たり、ゲームをしたり、調べ物をしている程度だと思っていましたが、明らかにヘビーユーザーである私よりも通信量が多いことが分かりました。
何にモバイル通信を使っているのか気になりましたので、この点に関してヒアリングすると、理由はとても単純で、「動画を見ている」ということでした。しかも、自宅でもWi-Fi経由ではなくLTE回線を使い続けることが多いようで、この点に関しては改めるように指摘しました。これで、わが家も来月からはかなり改善されることでしょう。
これまで、通信事業者が帯域制限を行う理由としてよく言われていたのは、「ごく一部のヘビーユーザーが帯域を占有しているから」とし、制限を行っても「ほとんどの利用者には影響がない」と表現することが多かったと思います。
「一部のスマホヘビーユーザー」の通信速度を制限、米キャリアAT&Tが実施へ - ITmedia Mobile(2011年の記事)
しかし……。ここ最近電車の中でもスマートフォンでYouTubeなどの動画を見ている人がとても多いと思います。決してごく一部のヘビーユーザーではなく、「普通の人」が大容量のコンテンツを、普通に楽しむような時代になったといえるでしょう。
先日、「キャリアグレード」と呼ばれるような、高速、高性能のネットワーク機器を販売するベンダーを取材しました。超ハイエンドな製品は高くても売れるのだろうと思っていたら、「キャリアの収益構造は変わらないから、ハイエンド製品も大容量化だけでなくコスト削減に注力した」と言っていたことが印象的でした。今の状況では、通信事業者もそう簡単にはパケット利用料金を値上げできないでしょうからね。
日本におけるモバイル通信の通信量は、今後減ることはないでしょう。そして一度進化してしまった「スマートフォンのあるライフスタイル」を過去に戻すこともできません。そんな時代ですから、利用者としては各通信事業者がベースにしている「家族なら10ギガで十分」というのはそろそろ見直ししてくれるとありがたい――と思うものの、通信事業者にもほんの少しだけ同情をしてしまう出来事でした。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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