エプソンがマイナンバー一括収集システム、自社スキャナーと「R4シリーズ」で連携

エプソンが、会計ソフト「R4シリーズ」とスキャナー製品を連携させた「マイナンバーの一括収集システム」を提供する。

» 2015年08月10日 22時48分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 セイコーエプソンおよびエプソン販売は8月10日、「R4シリーズ」などの会計システムと同社製スキャナーを活用した企業・会計事務所向けマイナンバー対策ソリューション「個人番号一括収集システム」を提供すると発表。2015年10月上旬よりダウンロード提供をはじめる。

photo (参考)会計事務所向け「給与・法定調書顧問 R4

 企業のマイナンバー制度対応で当初の課題となる「(大量の)収集」業務を安全・確実・手間なく行うためのソリューションとして用意し、会計事務所や企業の給与業務に関わる担当者のマイナンバー収集業務の効率化を支援する。

 R4シリーズより抽出した従業員・家族情報のマスターデータと、エプソン製スキャナーでスキャニングした通知カードの個人番号をひも付けし、暗号化処理して保管する。データはR4シリーズに標準で備わる統合管理機能のマイナンバー専用データベース「Eiボード」へ一括格納することで、マイナンバー取り扱い権限によってアクセスログ管理され、個人番号の安全性を確保できるとする。

photo マイナンバー専用データベース「Eiボード」の構造と運用イメージ(出典:エプソン)

マイナンバー制度とは

 マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。

 国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。

 マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。

 マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。

 マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。



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