マイナンバー収集、複合機で簡単に コニカミノルタが新サービス

マイナンバー対応で最初の壁となる「収集」業務。コニカミノルタビジネスソリューションズが自社の複合機を活用して負担を軽減するサービスをはじめる。

» 2015年06月05日 21時33分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 コニカミノルタビジネスソリューションズは6月5日、自社の複合機「bizhub」シリーズなどを活用するマイナンバー収集サービスを発表した。2015年10月より開始する。

 2016年1月に制度開始、2015年10月より実務が始まる「マイナンバー制度」への対応において、企業にとって最初の障壁となるマイナンバーの収集作業の負担を軽減し、クラウド上へ安全に保管できるサービスとして展開する。

 オフィスに備わる複合機や従業員自身のスマートフォンを使い、収集作業を従業員自らの操作で行ってもらう仕組み。複合機に用意するマイナンバー登録専用ツールのガイドに沿って、自身のマイナンバー通知カードと身元確認書類(運転免許証など)をスキャンするのみ。スマートフォンも同様に、カメラで撮影した書類を専用Webサイトへアップロードする作業で登録が完了する。

photo コニカミノルタ マイナンバー収集サービスの仕組み

 制度が始まる2016年1月より、企業は行政機関へ提出する税や社会保障に関する届出や帳票に従業員のマイナンバーを記載することになる。マイナンバーを含めた「特定個人情報」は、収集、管理、利用、提供、廃棄の各項目で法として適切かつ安全に対処するよう、すべての事業者に求めている。ただ、マイナンバーが配られ、収集作業の実施が認められるのは2015年10月から。企業は少なくとも全従業員(とその扶養家族、個人事業主など個人関係者多数)の収集が必要だが、これまで経験のない作業をごく短期間、かつミスなく適切に行うことに不安や危機意識を抱いている。

 この点、同サービスは従業員が自らの作業で企業は情報を取得できるため、作業工程の短縮と担当者の負担を軽減できること。収集段階で発生しがちな転記間違いなどの人的ミス、紙やデータの廃棄ミスで起こりえる情報漏えいリスクも抑えられることをメリットに据える。既存の人事システムとの連携のため、CSV型式での取り出し機能も備える。

photo マイナンバー制度の準備期間と開始後の運用の流れ(出典:コニカミノルタ)

マイナンバー制度とは

 マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。

 国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。

 マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。

 マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。

 マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。




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