「まだこれから」の企業は、何に困っているのか。マイナンバー対応調査結果から「間に合う?/対応する」を改めて考えつつ、「実務対応診断チェックシート」で“要は何をすればよいか”をチェックしよう。
2016年1月開始。そろそろ“待ったなし”の段階に入っている「マイナンバー制度」の対応準備は進んでいますでしょうか。
国民のマイナンバー制度の認知度はじわじわ高まっています。調査会社クロス・マーケティングが2015年6月後半に行った全方位調査によると、「他人に説明できるぐらい知っている」「名前も内容も知っている」を合わせた回答率は約60.2%。2015年1月初旬に内閣府が行った「マイナンバー(社会保障・勢番号)制度に関する世論調査」の認知度約28.3%(「内容まで知っていた」の回答率)に比べると一般国民への認知はかなり進みました。
この間、3月より政府が国民向け広報活動(広報キャラ「マイナちゃん」や上戸彩さん出演のテレビCMなど)を本格化させたこと、また、2015年6月に発生した日本年金機構の大規模情報漏えい事件から「マイナンバーは大丈夫なのか」と気運が高まり、皮肉ですが認知が進んだ経緯も挙げられます。もっとも、「行政機関や公的サービスを受ける際に記入する個人情報が減る」を知っていた人が約44%にとどまったように、内容まで踏み込んだ理解度はまだ低い現状もあります。この認知、理解のための活動は──少なくとも自社の従業員には、そのマイナンバーを収集し、管理する企業も、改めてきちんと告知、説明していく必要があります。
では、そんな企業のマイナンバー対応状況はどうでしょう。
マイナンバー制度の対応はすべての事業者が対象です。負荷やコスト、従業員規模の大小こそあれ、企業としてまったく何もせずに済む制度ではありません。人材サービス事業のエン・ジャパンが2015年2月に行った「人事担当者向けアンケート結果」によると、全体で約27%が「準備をすでに進めている」と回答。同じく、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が開催したマイナンバー対応状況のアンケート結果(2015年3月半ば実施)も約31%が「すでに対応に取り組んでいる」「対応に向けて準備中である」と回答していました。つまり7割近くが「これから」ということになります。
このほか、中堅中小企業向けIT販売・SIベンダーのスターティアが2015年6月初旬に従業員数300名以下の中堅中小企業の経営層と社員に聞いた意識調査でも、やはり約70%が「情報収集段階/まだ対応準備はしていない/分からない」とする結果でした。
そもそも何に困っているのでしょう。財務経営システムを展開するミロク情報サービスが、2015年5月末にIT部門担当者を中心に「どんな対応をすべきか把握しているか」と問いた調査結果によると、多くは「どう対応すべきか、分からない」(約77%)と悩んでいます。そもそも最初の段階なわけですね。
そんな企業のために「マイナンバー実務対応 緊急診断シート」を用意しました。
これをチェックしていくことで、マイナンバー実務における影響範囲、通知、取得、保管、廃棄の各プロセスと、業務委託を行う場合、体制やシステムの整備において自社で何を行うか、何が足りないかを視認できるものとしています。もちろんこの先の、このほかの実務もこれ以外にありますが、まずは対策の第一歩として役立ててください。
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