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» 2015年09月28日 17時00分 UPDATE

Weekly Memo:「金融×IT」は融合かバトルか?──FinTechの行方 (1/2)

ITを活用した新たな金融サービス「FinTech(フィンテック)」が注目を集めている。金融とITの「融合」と言われるが、「バトル」の側面もある。果たして今後の行方は。

[松岡功,ITmedia]

金融機関におけるFinTechのインパクトとは

 FinTechとは、FinanceとTechnologyを組み合わせた造語で、スマートデバイスやビッグデータ分析、人工知能(AI)などを活用した金融サービスを指す。世界金融危機後、米国シリコンバレーにおいてITベンチャー企業が、新たな金融サービスの開発に取り組んだ動きが事の始まりといわれており、そうしたベンチャー企業は「FinTech企業」とも呼ばれている。

 FinTechのサービス領域は、資産の管理や運用、融資、決済、会計、金融情報の提供など多岐に渡るが、とくにモバイル決済やオンライン送金といった決済分野を中心に、FinTech企業が低コストで利便性の高い金融サービスを提供するケースが増えてきている。さらに、こうしたFinTech企業の活動をベンチャーキャピタルが積極的に投資して支える構図ができあがりつつある。

photo FinTech分野の投資動向 2014年の投資規模は前年比3倍の約122億ドルに上った(アクセンチュアの報告書より)

 こうした動きに対し、銀行をはじめとした金融機関や大手ITベンダーもさまざまな取り組みを始めている。とくに金融機関では、FinTechが既存業務の一部機能を代替する存在にもなり得ることから、手をこまねいているわけにはいかない。

 大手銀行の幹部にこの点について聞いたところ、「FinTechはわれわれにとって、追い風にも向かい風にもなる」との認識を示した。その意味では「追い風」にすべく、金融機関では今、自社内での金融サービスの研究開発体制の強化に努める一方、FinTech企業や大手ITベンダーとの連携・協業に向けて積極的に動き出している。

 また、金融機関にとっては、金融庁がFinTechの普及を前提にした新たな法整備に乗り出したことも追い風になりそうだ。具体的には、例えば銀行が電子商取引やモバイル決済などの事業を運営できるようにする。ちなみに現在は、銀行が持ち株会社の傘下に収めることができる子会社は本業の金融業務のみだが、規制が緩和されれば、本業との相乗効果が期待できる分野において柔軟な事業展開を図ることができるようになるという。

 こうした規制緩和は欧米ではすでに実施されており、日本の銀行が今後FinTechを推進していくうえで対処すべき課題の1つとみられていた。緩和されることになれば、実に17年ぶりの改革になる。金融庁では今後、規制緩和で生じるリスクや銀行グループのガバナンスに及ぼす影響などを検討し、問題が少ないと判断すれば、来年の通常国会にも関連法案を提出する予定だ。

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