メンバーなどから集めた情報をどのように整理し、正しい判断につなげるか。情報の整理とは、すなわち優先順位をつけることと同義です。今回は、物事の優先順位をどうやって決めるべきか、そのコツをご紹介します。
現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
日々決断を迫られるプロマネが、正しい判断を行うためには――。そんなテーマで複数回にわたってお話ししてきました。今回はその仕上げとして、判断に直接関わる“情報整理”を適切に行うためのコツを見ていきましょう。
情報の収集(前回までの記事参照)と、収集した情報の整理を、どのタイミングで行うかを以下にまとめてみました。
「情報収集」と「情報整理」をする目的とタイミング | ||
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プロジェクトの計画 | プロジェクトの実行 | |
情報収集 | A.計画を立てるため(計画立案・アイデア出し) | B.計画通りに進めるため(進捗報告) |
情報整理 | C.計画を立てるため(何を取り入れるか) | D.進捗の確認や対策を検討するため(遅れていないか、何を取り入れるか) |
情報収集は大きくAとB、2つの目的で行います。Aは「計画を立てるため」の情報収集です。プロジェクトの計画は、プロマネが単独で作ることもあれば、有識者の意見を取り入れて計画を作ることもあります。
ここで言う“有識者”とは、求めている知識について自分より知っている人のことを指し、スキルが優れている人だけではありません。例えば“火消しプロマネ”のように、プロマネがプロジェクトに途中から参加する場合は、現場のメンバーが有識者になるのです。
主に計画を立てるための「現状」に関する情報や、何を計画に取り入れるか、進捗の遅れを回復するためにどんな方法が考えられるかといったアイデアのもとになる情報を収集します。
一方のBは、進捗確認や計画通りに対策を打つための情報収集です。もともと進捗確認自体は、そんなに難しいものではありません。Aで立てた計画書(WBSなど)に沿ってチェックするだけでいいためです。ここで引っ掛かるポイントは、前回や前々回にお話しした通り、「そもそも情報が集まらない」ことや「WBSの項目に合った情報が集められない」点でしょう。
例えば、WBSにある項目の粒度が大きいのに、各メンバーから細かすぎる情報が来ても困りますし、逆のパターンだと不十分です。前回、前々回の記事で示した工夫できちんと収集するとともに、“ホウレンソウ”が欲しい粒度でWBSを立てるようにすると、進捗確認がぐっと楽になります。
これが終われば、いよいよ次は「情報整理」です。
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