2016年のクラウド市場はどうなるのかWeekly Memo(1/2 ページ)

2016年のIT業界はIoT(Internet of Things)やAI(人工知能)など昨年来のホットな話題を中心に幕を開けたが、筆者は引き続きクラウド利用の進展と課題にも注目したい。

» 2016年01月12日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]

クラウド利用の実態を示したIIJの顧客調査

 「2010年頃から本格化したクラウド利用は、2013年頃から“クラウドファースト”の取り組みが盛んになり、2015年には“クラウドネイティブ”とも呼ばれるようになって、最適な利用の仕組みが実装されるようになってきた。今後はこの動きが一層広がっていくだろう」

 インターネットイニシアティブ(IIJ)執行役員プラットフォーム本部長の立久井正和氏は、同社が先頃開いた新クラウドサービス「IIJ GIO インフラストラクチャーP2」(IIJ GIO P2)に関する記者説明会でこう語った。

Weekly IIJの記者説明会。左から、同社執行役員プラットフォーム本部長の立久井正和氏、サービス推進本部GIO推進部長の神谷修氏、同部GIO推進課の近藤将吾氏

 IIJはこれまでクラウドサービスとして、オンラインで手軽に導入できる「IIJ GIOホスティングパッケージサービス」と、多様なITリソースを組み合わせてシステムを構成できるオーダーメイド型の「IIJ GIOコンポーネントサービス」を提供してきた。

 IIJ GIO P2はこの2つのサービスを進化させ、信頼性・処理性能をより高めたパブリッククラウドと、オンライン申し込みで即時利用を可能にしたプライベートクラウドを1つに融合したサービスとして、2015年11月末に提供を始めたものだ。

 サービスの内容については2015年7月に発表済みだが、今回の説明会ではその詳細とともに、これまでのGIOの1300社を超える顧客企業を対象とした利用動向調査「2015 IIJ GIOカスタマーサーベイ」を明らかにした。あくまでもGIOの顧客を対象とした調査だが、その中でクラウドサービス全体における利用動向とも見て取れる印象的な結果が4つあったので取り上げておきたい。

 1つ目は、GIOの用途を聞いたものである(図1)。左上のグラフは「新規」利用と「既存」システムをそのまま移行したケースの割合で、半々となった。また右下のグラフでは、用途として「オフィスIT系」や「BtoCサービス基盤」の割合が高いことを示している。

Weekly 図1:IIJ GIOの用途(出典:2015 IIJ GIOカスタマーサーベイ)

 ただ、今回の調査結果について説明したIIJサービス推進本部GIO推進部長の神谷修氏によると、2年前に実施した同様の調査との比較では、「既存」の割合が10%近く増加し、用途として「データ収集・蓄積・分析」や「統合基盤」が浮上してきたのが注目点だという。

 2つ目は、GIOで稼働させているシステムリソースの割合を聞いたものである(図2)。「70%以上のシステムリソースを稼働させている」との回答が13%にとどまった一方、「10%未満」が54%を占めたという結果は非常に興味深い。神谷氏は、ビジネスの観点からまだまだクラウド利用のポテンシャルがあることを物語っている結果だとしている。

Weekly 図2:IIJ GIOで稼働させているシステムリソースの割合(同)
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