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» 2016年01月22日 08時00分 UPDATE

萩原栄幸の情報セキュリティ相談室:FinTechは金融だけ? なぜ異業種も目の色を変えるのか (1/2)

「FinTech」という文字だけ見れば金融業界の話題に思えるが、実際にはあらゆる業種が参入を狙っている。その理由をひも解いてみたい。

[萩原栄幸,ITmedia]

 前回の記事の最後で、なぜFinTechに製造業まで興味を示すのかと触れた。その理由について全体像を示すのは難しいが、まず個別具体的に幾つかの事例を見てみることで分かりやすいと思われる。今回は筆者なりに感じている実際の動きをお伝えしたい。

 FinTechに関係するIT系で有名な企業には、クラウド会計のFreee、資産管理サービスのMoneytree、海外送金サービスのTransferWiseなどが注目を集め、その他有名な企業だけでもPaypal、STRIPE、Square、Coinbase、Knotなどがある。現在FinTechに関わるIT系のスタートアップ企業は軽く2000社を超えている。その一つひとつのほとんどが小さな会社であるものの、有名な銀行と互角以上の取引(ハッカソンやファンド、ビジネスコンテストなど)している。

 2015年の暮れ、米国の友人から驚きの現場に遭遇したと連絡があった。まだ実績のないスタートアップ企業が日本のメガバンク担当者に「資本参加したいならそこに名刺を置いてくれ。用事があればこちらから連絡する」と話していたそうだ。

hgy01011.jpg FinTech市場はブルーオーシャン?

 銀行側としては早いうちに目をかけておいて、できるだけ自分たちの陣営に引きずり込みたいという思惑がある。だから、企業規模では巨象のようなメガバンクが象のしっぽほどもないスタートアップ企業の言いなりになっている感じがするという。恐らく限りなく実態に近いエピソードの1つだろう。

 いま地銀や第二地銀、信組、信金などの「金融機関」は、どういうところに参加すればコスパの良いFinTechの美味しい“果実”を手にできるかと模索している。「親密関係の○○会はどうした」「××会はこのファンドに加入した」とかいう情報が錯そうしている。これらの混乱に乗じて、関係のない他業界の目先の効く経営者や役員も「資金」や「技術」「コネ」「人材」など様々な切り札を持参して、このFinTechにあえて参入している。

 当然ながらIT系でも大手のSIer、ベンダー、コンサルタントが金融機関とタイアップしながら、時に競合し、反発し合いながら、率先してさまざまなグループやコンソーシアムを形成し、前述のファンド形式やハッカソン形式、もしくはビジネスコンテスト形式の中で主流に乗ろう(主流を創ろう)と必死になっている。

 商売人ならリスクがあっても、参入障壁が低くて美味しい果実を手にできる可能性を占めた数少ない未知の市場に参入しない手はないだろう。FinTechの市場規模の予想はさまざまだが、おしなべて既存市場とは桁が違い過ぎる規模だ。だから直接的に関わる金融機関とIT系企業に、ほぼ全ての産業、さらには官公庁までも関心を持っている。

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