新生ベリタスが事業戦略発表、バックアップの“先”も展開

シマンテックから分社・独立したベリタスが国内事業を本格始動させた。従来のバックアップの中核にしつつ、「情報管理」ソリューションを展開する。

» 2016年02月15日 14時25分 公開
[國谷武史ITmedia]

 2015年10月にシマンテックから分社・独立したベリタステクノロジーズは2月15日、国内事業の戦略について発表した。従来のバックアップソリューションを中核としつつ、クラウドサービスを活用した「情報管理」ソリューションの展開に注力すると表明した。

ベリタステクノロジーズの西村隆行社長

 同社は、2005年にシマンテックと合併した「ベリタスソフトウェア」のブランドや事業を継承する新会社。当時はセキュリティ事業のシマンテックとバックアップ事業のベリタスが統合することで、両事業分野を組み合わせたソリューション展開を掲げたが、約10年の取り組みではこの方針が市場に浸透しなかったといい、ベリタスの社長に就任した西村隆行氏は、「統合効果を発揮できなかったこと、2つの事業領域それぞれの意思決定スピードを高める必要があった」と独立理由を説明した。

 新生ベリタスは、米国カリフォルニア州マウンテンビューを本拠に、約7800人の社員が在籍。日本法人は約150人体制で、2016年2月から事業展開を本格的にスタートさせた。西村氏は、「情報の持つ力を引き出すことを理念に、情報へアクセスできる可用性と、情報を活用していくための洞察を提供したい」と述べ、2016年は2桁成長と顧客・パートナー満足度の向上、新生ベリタスの認知拡大を目指すと表明した。

事業戦略の3本柱

 製品戦略ではバックアップソフトとハードウェアを組み合わせたアプライアンスソリューションとクラウドサービスの拡大を掲げる、

 アプライアンス製品では既に大規模環境向けの「NetBackup」と36〜144テラバイトのストレージなどを一体化した「NetBackup 5230」シリーズを投入済みだが、新たに中小・中堅企業向けに4テラバイトおよび14テラバイト容量のモデルを追加するほか、より大規模な環境向けに229テラバイトおよび458テラバイトの「NetBackup 5330」シリーズを発売する。

主力のバックアップソリューションではアプライアンス展開に注力する

 クラウドサービスではシマンテック時代から提供するメールアーカイブに加え、可用性の向上を支援するという「Resiliency Platform」、バックアップデータなどの具体的な状況を可視化するという「Information Map」などの新サービスを始める。Resiliency Platformではオンプレミスやクラウドなどで稼働するシステムやデータの統合管理と、災害発生時のシステム復旧に必要な作業の自動化などをサポートする。Information Mapではメタデータから保存されているデータについて種類別の保存状況やアクセス状況などをグラフィカルなダッシュボードで把握できる。

「Information Map」のイメージ

 新たな取り組みついて常務 テクノロジーセールス&サービス統括本部の高井隆太氏は、例えば、従来のバックアップはストレージ容量が足りなくなれば追加するといった“ITインフラ視点”であったが、情報活用が叫ばれる現在では情報そのものに着目するソリューションがポイントになると説明する。

 「当社の調査で、バックアップされたデータの7割は1年以内にアクセスされた形跡がなく、そのうち3割はビジネス上保存しなければならないといった種類のデータではないことが分かった。可視化によってデータを適切に管理できれば、必要以上の出費を抑え、情報漏えいなどのセキュリティリスクを軽減していける」(高井氏)と、そのメリットを強調した。

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