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» 2016年02月23日 15時00分 UPDATE

IBM InterConnect 2016 Report:IBMとVMwareとAppleが一堂に会する意味――AWS対抗に変化 (1/2)

IBMがモバイルやクラウドの最新施策を明らかにする「InterConnect 2016」が開幕した。ラスベガスの会場にはVMwareとAppleも一堂に会し、IBMのクラウド/モバイルが企業ITに与える未来像を示した。

[國谷武史,ITmedia]

 「クラウドにおける戦いは“規模”じゃない。“価値”を作れるかだ。企業が考えているのはクラウドからどのような価値を生み出すかにかある」。

 IBMがクラウドやモバイル分野のメインカンファレンスと位置付ける「IBM InterConnect 2016」が米国時間2月22日、ネバダ州ラスベガスのMGMとMandalay Dayという2つの巨大ホテルを主会場に開幕した。冒頭の発言は、約2万3000人が来場するこの巨大イベントにおいて、同社クラウド事業統括シニアバイスプレジデントのロバート・ルブラン氏が述べたもの。企業のクラウド採用で先行するAmazon Web Services(AWS)を意識しての発言だ。

itrcnct0101.jpgitrcnct0102.jpg InterConnect初日のメイン会場となったMGM。ラスベガスでもトップクラスの規模を誇るといわれる(左)。アリーナの基調講演会場には開始時間の前から熱気にあふれた

ハイブリッドクラウドへの“道筋”を強化

itrcnct0103.jpg IBM クラウド事業統括シニアバイスプレジデントのロバート・ルブラン氏

 初日の基調講演でルブラン氏が掲げたテーマは、「企業のこれまでのIT投資をどう守るか」「開発者の生産性をどう高めるか」の2つ。具体的には、VMwareおよびAppleとの協業関係をより緊密なものに昇華させ、基幹システムからクラウドを介してモバイルを活用することによる“価値の創造”をもっと柔軟に、かつ多様に実現させていくというエコシステムを目指す。

 まずVMwareとの協業の強化は、VMwareプラットフォームで稼働するオンプレミスの企業のITシステムをIBM Cloudでそのまま利用できるようにすること目指す。IBMが世界45カ所で展開する同社のクラウド環境において、vSphereやNSXに代表されるSoftware Defined Date Center(SDDC)のプラットフォームとそこで稼働するアプリケーションが利用可能になるという。

 ルブラン氏は、「オンプレミスシステムの9割はVMwareで稼働する。それらがそのままIBMのクラウドで稼働する。顧客企業は既存の投資を無駄にすることはなく、既存の運用、ポリシーをそのままクラウドの世界に広げられる」と強調した。IBMはCloudBuilderや事前定義済みのカタログなどを提供することで、ユーザーがVMwareプラットフォームをIBMのクラウド上へシームレスに展開できるようになる。VMwareは、vRealize AutomationやvCenter ManagementでのIBMのクラウドへの対応を図り、ユーザーはオンプレミスやクラウド上のシステムを統合的に運用していけるようにする。

 舞台上でルブラン氏と並んだVMwareのカール・エッシェンバッハCOOは、「この協業の強化は自然な流れであり、お互いの共通の顧客のために、(オンプレミスからクラウドまで)同じ運用ができる環境を提供する」とコメント。一方でVMwareが自社で展開するパブリッククラウドサービス「vCloud Air」や他社との協業体制はこれまで通り維持すると、「IBMとの関係は決して排他的なものではないが、これによってわれわれが目指すクラウドの世界がさらに広がるということだ」と説明した。

itrcnct0104.jpg 戦略的協業を発表したルブラン氏とVMwareのエッシェンバッハCOO(右)

 ルブラン氏はVMwareとの協業強化がクラウドのあり方を転換させるとし、「大量処理を行うだけのものから価値を生み出すものに変わる。デジタル化によって従来のビジネスモデルが次々に破壊されているが、企業としては他人から破壊されるよりも、既存資産とデータ、それに新しく獲得したデータソースを力に自らを破壊して新しい価値を創造したい」と話す。

 企業のクラウド導入が当たり前のようになったが、それでもベンダー各社が掲げる「クラウドファースト」のシステムはアナリティクスなど、まだ新規分野に多い。オンプレミスとクラウドを組み合わせるハイブリッドモデルも各社からさまざまなソリューションが展開されているが、会場ではIBMとVMwareの協業に「もっと早く実現すべきだ」との声も聞かれた。

itrcnct0105.jpg IBMのクラウド上でVMwareのサポートが本格化されることに

iOSアプリをIBMクラウドで作ろう

 モバイル分野で協業するAppleとは、新たにオープンソースのプログラミング言語「Swift」を、IBMのPaaSサービス「Bluemix」へ対応させることを発表した。これに合わせて、Swiftのランタイムのプレビュー版やアプリ開発パッケージの「Swift Package Catalog」をリリースしている。

 基調講演に登壇したApple プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのブライアン・コール氏は、2014年に同社がSwiftをリリースして以降、従来のC++に代わる容易なiOSアプリの開発が飛躍的に加速し、特にIBMは企業向けiOSアプリの提供における最大の開発者だと述べた。Appleは2015年12月にSwiftをオープンソース化したが、Swift.orgのコミュニティーにおいてもIBMが多大な貢献をしているという。

 IBMは、Bluemix上でSwiftを利用できるようにすることでネイティブアプリ開発の生産性を一気に引き上げ、モバイルからクラウドを介したアナリティクスなどの利活用シーンをさらに加速させ、企業ビジネスの可能性を最大化させていくのが狙いだ。

itrcnct0106.jpg Swiftで開発されるアプリとそのデータのハブにBlumixがなっていく

 IBMのクラウド上ではSwift Sandboxを利用したアプリ開発スキルの早期習熟が可能なほか、Swiftを利用したWebアプリフレームワークのKituraによるOS XやLinux環境へのアプリの迅速な展開し、イベントドリブンなアプリ実行環境の「IBM Bluemix OpenWhisk」を提供。Swiftのコードの共有や活用の促進を図る「Package Catalog」もリリースしている。

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