「でもさ、悪い人はお金を狙うわけだから、そのパスワード管理ツールよりも銀行を狙うよね」
「それはそうね」
「じゃあ、銀行のパスワードは気を付けて作ってる?パスワードカードとか」
「うーん、あんまり気にしてない」
「狙われる可能性が同じなら、パスワード管理ツールを使ったほうが便利じゃない?」
「それもそうかも。何もしないよりは。」
「でしょ!」
ということで、自分の中で納得をしてくれたようで、無事、パスワード管理ソフトを使い始めるようになりました。実際に手取り足取り説明すると、Webサイトのパスワードだけでなく、例えば、パスポート番号やクレジットカード番号、マイナンバーなども保存できると知り、便利だと理解してくれたようです。
今回感じたことは、特にITにおいては「知らないこと=不安」と感じることが多く、技術的な説明よりも、その不安を紐解くという作業が重要だということです。特に身近な人間、「家族」の誰かが説明し、不安を取り除くことが安全、安心できるITの実現には不可欠です。特にお子さんがいる家庭では、スマートフォンというITをどう使わせるかというのは大きな課題かと思いますので、安心してインターネットに触れるために、まずは大人がITを知ることが重要なのかもしれません。
以前、「LINEを使わない情シスなんてあり得ない」と書きました。「使うな」「使え」と支持するためには、まず誰かがそれらを使いこなす必要があります。家庭内においても、同じことなのかもしれませんね。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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