つながるクルマ、ソフト更新もスマホのように――調査会社が予測

2022年までにソフトウェアをOTA(Over The Air)で更新できる車は1億8000万台、ファームウェアをOTAで更新できる車は2200万台が出荷されるとABI Researchは予想する。

» 2016年03月16日 07時55分 公開
[鈴木聖子ITmedia]
ABI Researchのレポート

 自動車のハッキング事例や車載ソフトウェアの脆弱性発覚で車のセキュリティ問題が脚光を浴びる中、ソフトウェアやファームウェアの更新を無線で行うOTA(Over The Air)に対応した自動車の出荷台数は2022年までに約2億300万台に達する見通しだ。調査会社米ABI Researchが3月15日に発表した。

 自動車業界は今後3〜5年でOTAへの取り組みに力を入れるとABIは予想。2022年までに、ソフトウェアをOTAで更新するSoftware Over-the-Air(SOTA)に対応した車は1億8000万台、ファームウェアをOTAで更新するFirmware Over-the-Air(FOTA)に対応した車は2200万台が出荷されると予測している。

 業界がOTAに踏み切る背景としては、リコールにかかるコストと自動運転の基盤を築いたTeslaの成功、ソフトウェアの複雑化に伴うセキュリティリスクの3要素を挙げ、「OTAは、つながるクルマの全ソフトウェアについてシームレスかつ包括的、一体的にセキュリティを管理できる唯一の方法」だと指摘した。

 車のリコール率はこの2年で上昇しているが、昨年のリコールのほぼ3分の1はOTAで対応でき、自動車OEMは少なくとも60億ドルのコスト削減が可能だったとABIは試算する。

 昨年発覚したFiat Chrysler Automobiles(FCA)の「Jeep Cherokee」ハッキング問題では140万台のリコールが行われ、USBメモリを持ち主に送る方法も採用された。しかしこの方法ではセキュリティリスクが増大し、パッチが適切に行われたかどうか確認することもできないという問題がある。

 「車の自動性能の加速に伴い、サイバーセキュリティの重大性も増す。ソフトウェアの更新に起因するサイバーセキュリティリスクに対応するため、自動車OEMの間ではソフトウェア管理ソリューションに重点を置いた買収・合併が増えるだろう」とABIは予想している。

自動車を取り巻く通信環境(情報処理推進機構の資料より)

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