“ダメ会議”を変える7つのコツ榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(1/2 ページ)

会議に集まったはいいが、参加者が内職や居眠りをしていないだろうか。したり……。そんなダメ会議から脱却するために押さえるべき「4つのフェーズ」と「7つの基本動作」を紹介する。

» 2016年05月24日 14時01分 公開
[榊巻亮ITmedia]

この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。


下手な研修や自己啓発の前に、目の前の会議を変えろ

 一人のビジネスマンとして声を大にして言いたいことがある。

 日々の業務にしても、変革プロジェクトにしても、事業創造プロジェクトにしても、ビジネスの現場で絶対に避けて通れないのは「会議」であり、「打ち合わせ」である。組織が組織として機能するためには、他人と認識を合わせ、1つの成果に向かって役割分担をしていく必要がある。これは会議や打ち合わせを抜きにしては実現できない。会議での議論、意思決定の品質が高ければ、企業活動の品質が上がる。会議のスピード感がそのままビジネスのスピードになる。もはや会議は企業活動にダイレクトに影響を与えているといっても過言ではない。

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 にもかかわらず、会社は何も教えてくれない。ほとんどの人は見よう見まねで会議をやっているはずだ。企業が年中やっている研修は「管理職になる人のためのリーダーシップ研修」「部下の気持ちをくみ、やる気に火をつけるためのコーチングスキル」「成長を最大化するための目標設定方法」「経営層をうならせるプレゼンスキル」などである。これ自体を否定するつもりは全くない。素晴らしいものも多い。

 しかし、経営層にプレゼンする機会より、会議や打ち合わせをする機会の方がずっと多いはずだ。

 幾つもの打ち合わせが積み重なってプレゼンに至るのだから、当然だ。海外の経営本やら、ビジネストレンドの本やらを読んでいる場合じゃない。自社のビジネスModelを変える機会よりも、会議で発言する機会の方がずっと多いのだから。時間の掛け方が間違っている。まず足元のスキル固めをしないでどうするのだ。

生涯会議時間は約30,000時間、8年分

 約30,000時間……あなたが一生涯で会議に費やす時間だ。この途方もない時間、想像してみたことはあるだろうか? 1日10時間活動できるとして、365日休みなく働いたら、約8年分になる。大事なことなのでもう一度言う。“貴重な人生の時間を、8年分も会議にささげる”ことになる。

 ここで少し考えてみよう。8年もの時間を、あなたはどう過ごすことになるのだろうか? よくある会議の風景を除いてみよう。

 お昼休み開けの会議室――。小さな会議室にはテーブルを囲んで6人の男が座っている。ほとんどのメンバーが黙っている中、一人黙々としゃべっている男がいる。課長だ。書類に目を落として、まるで朗読だ。

 (ああ、お昼後のこの時間にはつらい……。眠い……)ふと横を見ると、3つ上の先輩はノートPCをにらんでいる。一見会議に集中しているように見えるが、全く別のことをやっている。

 (内職か……。おれもPC持ってくればよかった)と、ふと前をみると、別の先輩が課長に気付かれない角度で寝ている。

 (う、うまい!あの技、俺も身に付けたいなぁ……)と思ったその時、「じゃあ、今日はここまでだな」と課長の声が。どうやら終わったらしい……。やれやれ、やっと仕事に戻れる――。


 こんな会議に覚えはないだろうか? 30,000時間、8年もの間、こんな会議を続けることになるわけだ。この絶望的な事実に、多くのビジネスマンは気付いていない。

きちんと基礎を学べばどうということはない

 不思議なことに、会議のやり方は誰も教えてくれない。多くのビジネスマンは、誰からもキチンと教わった記憶がないと思う。摩訶不思議な現象なのだが、捉え方を変えれば「キチンと会議の仕方を学べば、劇的に改善する可能性がある」ともいえる。

 世にある会議の本は正しい事を書いているのだが、内容が高度過ぎるのだ。「会議では図解をするんだ」とか書いてある。「図解」なんてプロでも難しい。スケートの初心者にいきなりトリプルアクセルを教えるようなものだ。「正しい靴の履き方」こそ、最初に教えることであるべきなのだ。では会議にとっての「正しい靴の履き方」は何なのか?

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