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» 2017年03月08日 10時00分 UPDATE

Computer Weekly:導入企業の90%がAIのメリットを活用できず、さらに懸念を抱えている現実

調査の結果、AI導入企業の90%はAIのメリットを引き出せていないという。さらに、彼らは多くの懸念を抱えていた。AIを活用するために解決しなければならない課題とは何か。

[Karl Flinders,Computer Weekly]
Computer Weekly

 ある調査によると、人工知能(AI)を採用している企業は、2020年までに39%の収益増と37%のコスト削減を見込んでいるという。また64%の企業が、自社の成長はAIの大規模採用に懸かっていると考えている。

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 だが、このように肯定的な予測がなされているにもかかわらず、企業がAIによる好影響を見込むには、乗り越えるべきハードルが幾つかある。

 市場調査会社Vanson BourneはITサプライヤーInfosysの依頼を受け、中国、オーストラリア、米国、インド、ドイツ、フランス、英国の1600社を対象に調査を実施した。その結果、AIを導入してそのメリットを全て引き出している企業は10%にすぎないことが明らかになった。AIで最も改善が必要な分野として、実装にかかる時間、使いやすさ、他のシステムやプラットフォームとの相互運用性が挙げられる。

 回答企業がAI採用に関する懸念として挙げた他の項目には、データの安全性(43%)、雇用の安定(40%)、報酬率(30%)などがある。

 倫理的問題を感じている企業も53%あった。支配権をAIに委ねる不安や、業界規制を満たせるのかどうかの懸念など、倫理的問題はAIの有効性を阻害しかねない。

 AIに職を奪われた従業員をどうするかというのも、大きな倫理的問題の1つだ。

 調査によると、従業員が行っていた仕事をAIに置き換えた企業の80%は、雇用を維持するために従業員の再配置や再教育を行っている。また、53%の企業が能力開発に投資している。

 スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムをにらんで発行されたレポートでは、AIの拡大について警告している。AI拡大のペースは速く、政府や民間企業が協力して問題に対処しない限り、新たな職業が生み出されるよりも速く、ホワイトカラーがこれまで行ってきた仕事が奪われることになるだろうというのがその主張だ。

 Infosysの調査によれば、回答企業の3分の2がAIの倫理的問題を十分に考慮していないという。

 日本の富国生命保険(フコク生命)は、給付金支払い査定部門で34人が行っていた仕事をIBMの「Watson」に置き換える計画を最近発表した(訳注)。Watsonは、支払いの査定に使用される医療文書を読み取る。その後給付金額を算出するが、最終決定はこれまで通り人間が行う。同社はこの部門の人員を3割削減し、約1億4000万円のコスト削減を見込んでいる。

訳注:2016年12月26日付けの同社プレスリリース(PDF)。

 金融サービス業界は、その性質上規制が厳しく、慎重な対応が求められるため、伝統的にテクノロジーの導入には慎重だ。だが、この業界でもAIの導入が拡大している。

 2016年10月、スウェーデンのSkandinaviska Enskilda Banken(SEB)は、銀行として初めてIPsoftのコグニティブテクノロジーを導入した。「Amelia」として知られるこのソフトウェアロボットは、社内のITサービスデスクプロジェクトで有用性が実証された後、SEBのカスタマーサービスに配置された。

 英国では、Royal Bank of Scotland(RBS)がWatsonを利用して顧客からの質問に答えるロボットを用意した。このロボットは、顧客からの要求を適切な担当者に受け渡す。クラウドベースの「Watson Conversation」サービスを活用したコグニティブチャットbot「Luvo」は、最初の試験運用の一環として、2016年12月からスコットランド内でRBSの顧客の約10%が利用できるようになっている。

人間と遜色のない顧客対応

 一方、新興銀行のAtom Bankは、機械学習ソフトウェアを利用するモバイルアプリを使って、人間と遜色ない顧客対応を行うカスタマーサービスを提供すると発表した。また、Mastercardは、同社のグローバルネットワークでAIを活用して、取引認証の効率を上げている。

 カスタマーサービスに重点を置いたAIの需要は増加する見通しだ。Accentureによる調査では、企業だけでなく顧客もAIを歓迎していることが明らかになった。英国消費者の68%は、将来銀行がソフトウェアロボットを導入することを受け入れている。

 Infosysの理事を務めるサンディープ・ダドラニ氏は次のように話している。「AIが成熟し、勢いを増すにつれ、AIへの関心は今後4年間でさらに高まり、AIの導入で得られる大きな価値や利点は全体的に上向き傾向になることを当社の調査は示している。そのため、AIが社会のあらゆる側面において道徳的にも倫理的に発展するように、また、こうした変化の中で従業員が中心的立場にいるために必要な教育を用意し、積極的に取り組めるように、業界として必要な措置を講じなければならない」

 世界経済フォーラムのグローバルリスクレポート2017によると、社会に最も恩恵をもたらすと同時に、最も法律の制定を必要としているのは、AI、バイオテクノロジー、ロボット工学だという。世界経済フォーラムは、新興テクノロジーのガバナンスは不完全だと警告する。厳しく規制されているテクノロジーもある。だが、既存の規制機関の権限が及ぶ範囲に収まらないため、ほとんど規制されていないテクノロジーがあるのも事実だ。

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