BCNは4月12日、大手家電量販店のPOSデータを集めた「BCN ランキング」のデータに基づき、PCなど関連製品の最新市場動向を発表した。
BCNが、PC関連商品の最新市場動向について発表会を開催した。テーマは「いよいよ底打ちPC市場」。同社が集計している「BCN ランキング」のデータを分析したところ、PC分野では2012年に発売されたWindows 8以降、低迷していた販売台数が「ようやく底を打った」と、BCN チーフエグゼクティブアナリスト 道越一郎氏は言う。
BCN ランキングは、全国の大手家電量販店のPOSデータを日次で集め、商品カテゴリーごとに集計した情報を配信する、店頭の実売データ提供サービスだ。現在、データ提供販売店は全国23社、2610店舗で、集計にはメーカー直販やキャリアショップの売り上げは含まれていない。
PC市場では、Windows 8搭載PCの発売以降、Windows XPのサポート終了という大きな需要と反動減もあったが、基本的にはダウントレンドが3年以上も続いていたという。しかし「2016年12月から、特にノートPCが4カ月連続で対前年超えとなり、ノートPC以上にふるわなかったデスクトップPCも回復しつつある。国内のPC市場は底打ちしたのではないか」と、道越氏は見通しを語った。前述したとおり、家電量販店の実売データを集計しているため、法人向けPCのデータは一部しか含まれていないものの、全体的な傾向は回復しつつあるようだ。
道越氏は「平均単価が上昇していることを考えると、価格低下による売上拡大ではないのが分かる。回復のきっかけは、Windows Vistaのサポート終了(2017年4月11日)やWindows 10の企業導入が行われていること、Windows 10の大型アップデート(Anniversary UpdateとCreators Update)が済んで安定化が進んでいることなどが、買い替え需要を刺激していると思われる」と分析。
また、買い換え対象はWindows 7がリリースされた頃に登場したエントリーモデルで、メインメモリが4GB未満、HDD容量が1TB以下のスペックが多いという。
とはいえ、「かなり足下がしっかりしてきたが、まだ数%の復調であってV字回復とはいいがたい。本格的な回復はまだこれからだ」とし、「今後は、さまざまな情報を快適に消費できる点、プログラミングや作曲、長い文章の作成といったクリエイティブ用途の訴求が鍵を握るだろう。加えて、IoT時代の到来を迎え、家庭とクラウドをつなぐゲートウェイの要素は必要になる。PCはクラウドをつなぐ架け橋となる役割が期待できる。一方で、最近のPC市場は新しいチャレンジができにくい時代になっており寂しい限りだが、多様な形のPCに挑戦してほしい」(道越氏)
PC以外では、タブレットが依然として不調から抜けられず回復の兆しも見えていない。BCN ランキングではキャリア経由の販売台数が含まれておらず、日本マイクロソフトのSurfaceシリーズは販売情報が公開されていないほか、ディスプレイ回転タイプはノートPCとして集計されている(着脱式の2in1 PCはタブレットとして集計)。それらを差し引いても、ノートPCやデスクトップPCとは異なる状況なのは間違いない。
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