Watsonと自動化ツールを活用した超高速システム開発、IBMが発表

日本IBMは、IBM Watsonと自動化ツールを活用し、システム開発の超高速化と高品質化を支援する「IBM Watsonを活用した次世代超高速開発」の提供を開始した。計画やプロジェクト管理から保守、運用といったサイクル全体を包括的に支援する。

» 2017年04月25日 08時45分 公開
[ITmedia]

 日本IBMは4月24日、プロジェクト管理、アプリケーション開発、アプリケーション保守の3つの領域でシステム開発の高速化と高品質化を支援するソリューション群として「IBM Watsonを活用した次世代超高速開発」を発表した。従来の高速開発で重点を置いていたアプリケーション開発領域をさらに進化させ、アプリケーション保守やプロジェクト管理の領域も含めてシステム開発・保守サイクル全体の超高速化を実現するという。

 「IBM Watsonを活用した次世代超高速開発」は、プロジェクト管理を支援する「コグニティブPMO」と、アプリケーション開発とアプリケーション保守を支援する「統合リポジトリー&ツール」で構成される。価格は、両ソリューションとも個別見積もり。

 「コグニティブPMO」は、質問応答、プロジェクト状況の可視化とレポート、品質やリスクの予測を行い、プロジェクト管理を支援する。

 質問応答は、IBM Watsonの自然言語分類機能と対話機能を使ったチャットボットで、回答者の回答探索や応答の負担を軽減し、質問者はいつでも回答を得られる。プロジェクト状況の可視化とレポートは、プロジェクトで作成される進捗(しんちょく)管理表、課題管理表などからデータを取り込み、プロジェクト状況を視覚的に表示し、標準レポートとして出力できるという。

 また、品質やリスクの予測は、プロジェクト状況の可視化によって蓄積された情報を活用して品質の変化とリスクの出現を予測。AIを活用し、過去のプロジェクト実績や課題履歴といった膨大なビッグデータの中から有用な知見を抽出するといった精度の高い予測も可能だという。

 IBMでは、「コグニティブPMO」の活用により、プロジェクト管理コストを約30%効率化できると見込んでいる。

 「統合リポジトリー&ツール」は、アプリケーション開発を支援するソリューションとして、自動化ツールを活用した要件、設計、作成、ビルド、デプロイ、テストを支援する。要件や設計仕様をデータとしてリポジトリに登録、一元管理し、設計仕様間の整合性やトレーサビリティを自動チェックできる。

 また、整合性が保証された設計仕様からプログラムのソースコードを自動生成し、連続してビルドが自動実行され、さらにテスト環境や本番環境に自動デプロイが可能。生成された画面は、多種多様なスマートデバイスの画面サイズに合わせて動的に調整される。

 これにより、早いフェーズから動く画面と機能を確認し、修正を行えるという。特に早いリリースが求められるスマートデバイス用アプリケーションなどのフロントエンドシステムの開発においては、このようにすぐに動く実行モジュールを自動生成できることが必須となっているため、有用性が高いとしている。

 さらにバックエンドシステム開発については、メインフレーム用アプリケーション部品の自動生成機能やコーディングレスでのAPI生成機能を「統合リポジトリー&ツール」の個別機能として提供するとのこと。

 加えて、「統合リポジトリー&ツール」はアプリケーション保守の領域も対象とし、影響分析や障害予測を支援する。影響分析は、プログラム構造全体の可視化とシステム変更が影響を及ぼすポイントの探索をサポートし、迅速な変更要求への対応が可能になる。障害予測は、AIを活用することで蓄積された稼働実績データや障害履歴データといったビッグデータの中から有用な知見を抽出し、精度の高い障害予測を可能にするという。

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