IoTをビジネスフレームワークとして捉えると、ビジネス課題の解決に必要なテクノロジーや方向性が見えてきます。具体例を交えて解説し、IoTのビジネスレイヤーに見る2つの可能性を考察します。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
「うちもIoTで何かできないのか?」――そんな社長のひと言に、さてどうしたものかと頭を抱えてはいないでしょうか。そこでIoTとは何かを調べてはみたものの、はっきりとした定義は見つかりません。そもそも何がIoTなのかがよく分かりません。それも当然のことで、IoTというテクノロジーはないのです。
IoTとは、デジタルデータを活用したビジネス課題を解決するためのフレームワーク
このように捉えてみてはいかがでしょう。
これまでは人間の知見に頼って判断していたところを、センサーで集めたデータでリアルタイムに「事実」を捉え、機械学習や統計的な分析で最適解を求めるやり方に置き換えようというものです。そして、そこで得られた最適解でアプリケーションを動かし、現実世界にサービスを提供します。その結果生じた変化が再びセンサーによってデジタルデータとして集められます。
いうなれば、現実世界とサイバー世界が一体となって、リアルタイムで改善活動を繰り返しているような仕組みが、IoTなのです。このような仕組みは、サイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical System)とも呼ばれています。
このように捉えると、IoTといわれるものが、さまざまなテクノロジーの組み合わせによって実現することが分かります。また、どのようなビジネス課題を解決するかによって、使われるテクノロジーの組み合わせはまるで違ったものになります。
例えば土木工事の自動化サービスを考えれば、次のような組み合わせになるでしょう。
解決したいビジネス課題
データ収集
データ解析
データ活用
ビル設備管理サービスになれば、この組み合わせは変わり、自律走行車になれば、それもまた違うものになります。どのようなデータを集めたいかにより、使うセンサーも方法も変わります。何を知りたいかにより、解析のためのアルゴリズも変わります。当然、アプリケーションサービスもさまざまです。
このように見ていくと、「IoT=テクノロジー」と捉えることには違和感を覚えざるを得ません。「IoT=テクノロジーを生かしたビジネスフレームワーク」と言い換えてみてはどうでしょう。
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