連載
» 2017年05月16日 10時00分 UPDATE

即席!3分で分かるITトレンド:コレ1枚で分かる「IoTで変わるビジネスの本質」 (1/2)

IoTでモノの価値はサービスにシフトしつつあります。その過程をおさらいしつつ、IoT時代のビジネスチャンスの見つけ方についてまとめます。

[斎藤昌義(ネットコマース株式会社),ITmedia]

この連載は

 カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。


IoT(Internet of Things)で、うちも何かできないのか?

 社長から突然、IT部門や技術部門にこんな言葉が投げ込まれ、さあどうしたものかと頭を抱えこんでいる、そんな会社は、少なくはないようです。

モノにセンサーが組み込まれ、ネットワークにつながるのは分かる。でも、それで何が変わるのか、どんなビジネスができるかと言われても……

 本音はそんなところにありそうです。

IoTで変わるモノの価値の本質

 IoTがもたらす変化の本質は、モノの「価値の所在」が大きく変わることです。例えばかつてモノの価値は、ハードウェアの機能や性能によって規定されました。自動車の性能、ラジオの感度、工作機械の操作性といった特徴は、ハードウェアをどう作るかに委ねられていたのです。

Photo 【図解】コレ1枚で分かる「IoTで変わるビジネスの本質」:「価値の所在」の変化の例

 その後、モノにソフトウェアが組み込みまれ、性能や機能を規定する重要な要素になっていきました。例えば最近のデジタルカメラの露出、ピント、絞り、シャッタースピード、カラー調整は、そこに組み込まれたソフトウェアによって実現しています。かつてはハードウェアのメカニズムやフィルムなどのハードウェアによって実現するモノだったのです。もちろんハードウェアも重要な要件ではありますが、それはモノの構成要素の一部であり、付加価値の1つとして考えられるようになったのです。そして、ソフトウェアの機能や性能が、モノの価値を規定する比重が大きくなっていきました。

 ただ、ここまでは、1つのモノに閉じた世界での話です。IoTは、これをネットワークにつなげることで、価値の本質をサービスへとシフトさせようとしているのです。

 例えば昨今のテレビは、そこに組み込まれているソフトウェアを、放送電波を介して更新して機能や操作性を改善することができます。また、デジタルカメラもインターネットにつないでソフトウェアを更新すれば、連写機能を向上させたり、アートフィルターの種類を増やしたりと、買ったときよりも高機能なものに変えることもできるようになっています。また、米国の電気自動車「Tesla」のModel S/Dシリーズには、自動運転機能が組み込まれています。今は法律上の規制もあって完全な自動運転はできませんが、いずれはソフトウェアの更新によって自律走行ができるようになるということです。

 このように、ソフトウェアによって機能するモノがネットワークにつながることで、モノは購入した後も継続的に価値を向上し続けることができるのです。

 「もの作り」は、モノを製品として完成させることではなく、使い続けてもらうことを前提に考えていくことが求められるようになっていきます。例えばAppleの「iPod」が爆発的に売れたのは、「iTunes Music Store(現iTunes Store)」というサービスがあったからです。それ以前にも同様の製品として、ソニーの「ウォークマン」が存在していました。しかし、それを越える勢いでiPodがシェアを広げたのは、このサービスとモノを一体で考え価値を生み出したからに他なりません。

 iPodに続き登場した「iPhone」は、そこに導入したソフトウェアのおかげでカメラにもなり、地図にもなり、懐中電灯にもなります。そして、そのソフトウェアをインターネット経由で更新することで、操作性や機能を改善していくことができるのです。さらに、それらのデバイスからのデータを使い、ナビーゲーション、写真共有サービス、SNSといったサービスを実現しています。

Photo

 テレビやデジタルカメラ、Teslaの電気自動車、そしてiPodやiPadの例からも分かるように、モノがネットにつながることで、モノの価値が、モノそのものだけではなく、サービスと一体となって規定されるようになったのです。

 「ハードウェアからソフトウェアへとモノの価値はシフト」していきました。そして、IoTの普及とともに「サービスへとシフト」していくことになります。IoTでビジネスを考えるとは、この価値のシフトを前提としなければならないのです。

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