ビジネスにおけるITの役割とは何か? 「道具としてのIT」「仕組みとしてのIT」「思想としてのIT」「商品としてのIT」という4つの側面からITの役割を整理し、“4つのIT”を総力戦として活用するコツも紹介します。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
ITは、経営や業務の実践を支える基盤として欠かすことのできないものとなっています。「ビジネスはITと一体化」しているといってもいいでしょう。
しかし、いまだ「ITは道具にすぎない」といわれることも多く、ITの本来の役割が正しく伝わっていないようにも思います。
では、ビジネスにとってITはどのような役割を果たしているのでしょうか。
ITは、仕事や生活を便利にしてくれる道具として使われています。例えば、
このような「道具としてのIT」は、ITの専門家に任せることのできるITです。もちろん、ビジネスの現場でどのように使われるか、あるいは使い勝手や機能などは、それを利用する業務の現場の人たちの評価に耳を傾けなければなりません。しかし、先々の技術動向や他の製品やサービスと比較したコストパフォーマンスなど、専門家でなければ判断できないことも少なくありません。「道具としてのIT」と付き合うには、テクノロジーやトレンドに精通したITの専門家主導で進めていくといいでしょう。
ITが仕事の流れを円滑にし、効率を高めてくれます。例えば、
このような「仕組みとしてのIT」は、業務の現場とITの専門家が一緒に取り組んでいかなければならないITです。
「仕組み」とは、業務の手順を作業単位、すなわち「プロセス」という要素に分解し、時間軸に沿って並べたものです。無駄なプロセスを省き、効率の良いプロセスの順序を決め、誰もが使えるように標準化します。それをコンピュータプログラムに置き換えることで、誰もが間違えることなく仕事を進められるようにしたのが「仕組みとしてのIT」です。
経理や人事、受注、調達、生産、販売など、さまざまな業務プロセスがプログラムに置き換えられてきました。いったんプログラムに置き換えられた「仕組みとしてのIT」は、人間のように融通を利かせることはできません。それを逆に利用して、「仕組みとしてのIT」を使わせることで標準化された業務プロセスを業務の現場に徹底させ、コストの削減や品質の安定、作業時間の短縮を実現しています。
一方、そんなITが停止してしまうと、仕事ができなくなってしまいます。時には経営や収益、社会に大きな影響を与えかねません。例えば、航空会社の座席予約システムが止まると飛行機を飛ばすことができず、社会問題になります。月末に銀行の決済システムが停止すれば、入金を受けられない企業が社員に給与を払えなくなるかもしれません。
また、仕事の効率を高めたい、ミスをなくして仕事の品質を高めたいのであれば、その業務プロセスを改善すると同時に、それを動かしているITも手直しが必要になります。
このように「仕組みとしてのIT」は、業務の「仕組み」を実現し、ビジネスの効率や品質を高める役割を果たしています。
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